午前2時。1歳の娘が突然「わぁーん!」と泣き出し、スマホの騒音計は100dBを表示──
「これ、隣に聞こえてないかな……」と、不安で胸がギュッと締め付けられた経験はありませんか?

赤ちゃんの夜泣きは、成長の中で誰にでも起こる自然なこと。とはいえ、やっぱり音漏れは気になりますよね。
そんなときは、少しでも音をやわらげる工夫ができたら、気持ちがぐっと楽になるかもしれません。

この記事では、「夜泣き × 防音 × カーテン × 低予算 × 探し方」をキーワードに、今すぐ取り入れられる実践的な対策をまとめました。

▼今回のお悩み
物件:木造アパート
どこに対して:隣室
音の種類:赤ちゃんの泣き声
いつ:夜間
音の大きさ:100dB
予算:〜10万円

赤ちゃんの泣き声は隣室にも聞こえる可能性はある

赤ちゃんの泣き声は、一般的に大人の話し声よりも高めの音域(約400〜650Hz ※)となります。高音域の音は壁を介したり距離が離れたりすることで小さくなりやすく、室内では大きな声で泣いていたとしても、隣室ではある程度音が弱まって届いている可能性があります。

とはいえ、木造アパートなど遮音性の高くない建物で、深夜(通常25〜30dB程度の静かな環境)に100dBの泣き声が響くと、隣室では60dB前後にまで届くことがあり、「泣いている」と明確にわかるレベルの音になることも考えられます。

100dBの赤ちゃんの泣き声は60dB前後で隣に聞こえる可能性がある

※参考:Furlow, B. & Arnott, W.(1999)「新生児における発声 ― 乳児の泣き声について」『国際小児耳鼻咽喉科学雑誌』第49巻(補遺1号)

赤ちゃんの夜泣きが音トラブルになる主な原因

木造アパートで赤ちゃんの泣き声がトラブルになるのは、①建物の防音性が低いこと ②周囲がとても静かなこと ③泣き声が大きく、突然響くことの3つが考えられます。

壁から音漏れしている可能性がある

木造アパート、特に2000年以前に建てられた物件では、壁の防音性が低いケースがあります。たとえ赤ちゃんの泣き声のように比較的高めの音であっても、壁での音の減衰は40dB前後にとどまります。つまり100dBの泣き声は隣室で60dB前後の音として聞こえてしまい、深夜の静かな時間帯(30dB)では「うるさい」と感じられてしまうこともあります。

100dBの赤ちゃんの泣き声は60dB前後で隣に聞こえる可能性がある

※dB数の目安は下記の図をご覧ください。

騒音レベルの目安

ただし、築年数の浅い木造アパートでは壁の防音性能が優れている場合もありますので、そのような物件では、窓やドアなど、遮音性の低い開口部から音が漏れている可能性も考えられます。

近隣が非常に静かであるため

一般的に夜間は30dB前後のとても静かな環境になるため、仮にそれほど大きな音でなかったとしてもお隣に音漏れする可能性は十分考えられます。

単純に音が大きいため

自治体によって多少差はあるものの、「環境基本法」による生活音の目安は以下のとおりです。

  • 昼間:55dB以下
  • 夜間:45dB以下

これらを上回る音が漏れてしまうと、「騒音」として認識されてしまう可能性があります。
赤ちゃんの泣き声は100dB近くになるため、無対策では壁を介したとしても、トラブルになるレベルの音量で届いてしまうかもしれません。

※出典:環境省「騒音に係る環境基準

木造アパートで赤ちゃんの泣き声が隣に漏れないためには、20〜30dBの防音が必要

では、実際どの程度の防音が必要なのでしょうか。一般的に夜間は25〜30dBと非常に静かな環境となるため、理想は30dB以上の減衰、最低でも20dBの減衰を目安にすると良いかと思います。

下記の記事では「D値」について解説していますので、良ければご覧ください。

ただし実際のところ、20〜30dB音を減衰するというのは簡単ではありません。後ほどお伝えしますが、「夜中に赤ちゃんが泣いている時」という限られた条件下では対策方法も限定されるため、大きな防音効果を得ることは難しいです。

おすすめの対処法

ここからは木造アパートで赤ちゃんの夜泣きでトラブルにならないために身近にできる工夫、そしてピアリビングでできる防音対策についてご紹介します。

身近な工夫で対処する

(可能であれば)近隣の方に挨拶する

ご近所との関係値やお相手の人柄にもよりますが、事前にご挨拶をしておくと、得体のしれない人間の騒音でなくなるだけでも相手の気持ちは違うものです。

筆者エピソードになりますが、娘が3か月くらいの頃、隣と下の住人に菓子折りをお渡ししたそうです。どちらのお宅もとても良い方で、後日ベビーグッズのお返しをいただいたほどです。

もちろんどこでも当てはまる話ではないと思いますが、日ごろどのくらい音が漏れているのかの確認も含めて、可能であれば一度ご挨拶しておいても良いかもしれません。

当店の過去のブログ記事もよろしければご覧ください。

布団やハンガーラックで吸音する

筆者自身も、1歳の娘の夜泣きに悩まされた経験があります。
その際、使っていない布団を壁側に立て掛けたり、洋服をかけたハンガーラックを赤ちゃんの周りに置くだけで、驚くほど音が吸収されました。
結果として、離れた寝室にいた妻は全く気づかなかったほどです。

ポイントは、音が漏れる方向に「厚み」「重み」のあるものを配置すること。費用をかけずにできる対策としておすすめです。

極力隣室から離れた部屋を寝室にする

現在お住まいの家に複数の部屋がある場合は、できるだけ隣の住戸から離れた場所を寝室にするとよいでしょう。例えば下図のように、隣住居との間に一部屋挟むことで、赤ちゃんの泣き声は二重の壁を通ることになり、音が大きく軽減されます。

隣室のすぐ隣の部屋だと赤ちゃんの泣き声は60dB程度聞こえるが、1つ離れた部屋からだと40dB程度まで減少する

赤ちゃんの夜泣き対策を軸に、ピアリビングで最大10dB減を実現する防音対策

それではここから、ピアリビングで実現できる防音対策についてご紹介いたします。
今回は以下の3つの条件を満たすことを前提に、対策を検討しました。

  1. ・費用を10万円台に抑えつつ、防音効果が高いこと
  2. ・赤ちゃんの泣き声を対策する際に、不便が生じない設計であること
  3. ・赤ちゃんでも安心して使える素材であること

この条件に基づき、防音対策を行った場合の効果は、最大で10dB前後の軽減が期待できます。
ただし、防音対策のみで完全に音を遮断することは難しいため、できる限り、先にご紹介した「3つの対処法」とあわせて対策を進めていただくことをおすすめいたします。

※上記の条件は無視しても良いから20〜30dBを確実に軽減させたいという場合には、簡易防音室「おてがるーむ」を導入する方法もあります。ただし長時間にわたり防音室にいると熱気がこもってしまいますので、ご自身にとっても赤ちゃんにとっても良い環境とは言い難いです。

カーテンで周囲を囲む|約5〜10dBの音の軽減効果

ベッドをカーテンで囲む

※掲載画像はイメージ画像となり、コーズプレミアは使用しておりません。

防音対策を考える際は、「音源自体を囲う」方法が最も効果的です。たとえば、赤ちゃんが寝ているスペースを防音カーテンで囲うことで、反響音の抑制と音の回り込み防止により、5〜10dB程度の音の軽減が期待できます。

ピアリビングではさまざまな防音カーテンをご用意しておりますが、費用を10万円程度に抑えたい方には、既製サイズのカーテンを組み合わせてご利用いただくのがおすすめです。
たとえば「防音カーテン コーズプレミア」は、丈250cmの間仕切り用サイズをご用意しております。

【クイーンサイズのベッドの周囲2面を囲う際に必要な防音カーテンの費用】
防音カーテン コーズプレミア(幅110cm×丈250cm)4枚:約100,000円
防音カーテンコーズプレミア

防音カーテンコーズプレミア

防音効果:★★★☆☆/高密度生地/断熱・遮光1級/既製(幅110cm×丈135~250cm)orオーダーサイズ/2~3色展開/14,740円(税込)~

壁にポリエステル吸音材と遮音材を貼る

幅2,600mm×高さ2,500mmの壁にポリリーフを貼っている写真
幅2,600mm×高さ2,500mmの壁にポリリーフを貼っている写真

「防音カーテン以外の対策方法を知りたい」

そんな方には、壁に吸音材と遮音材を貼る方法も考えられます。ちなみに吸音材を選ぶ際は、赤ちゃんのいるご家庭でも安心して使える肌にやさしい素材を選ぶことが重要です。

ピアリビングでは、ポリエステル製の吸音材「ポリリーフ」をおすすめしています。

ポリリーフ

ポリリーフ

密度:70(kg/m3)/0.5kg/高音域の反響音対策/DIY・安心素材・防火・断熱・防カビ/500×500mm,30mm厚/2枚4,180円(税込)~

さらに、遮音シート「ノイズストップ15」を併用することで、より高い防音効果が得られます。詳しい施工方法は、以下の動画でご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

Noisestop15

ノイズストップ15

面密度:3.8㎏/最も遮音性能が高い・DIY初心者でも○・カット可|幅470mm×長さ1m~10m、厚み1.5mm/1m1,980円(税込)〜

【壁10㎡に施工した場合の目安費用】
ポリリーフ(40枚):約85,000円
ノイズストップ15(23m分):約16,000円
合計:約101,000円

 ちなみに、「DIYは苦手」「多少高くても、もっと簡単に設置できる方法が良い」という方には、ピアリビングオリジナルの防音パネル『ワンタッチ防音壁』もおすすめです。

防音パネル「ワンタッチ防音壁」

防音効果:最大10dB減/高密度+サンドイッチ構造/賃貸OK・オーダーカット・断熱/幅50~5400mm×高さ901~2700mm, 50mm厚/表面クロス2種10色展開/17,600円(税込)~

壁のサイズを測っていただければ、サイズに合わせた防音パネルをこちらでご用意し、ご自宅にお届けいたします。あとは、届いたパネルを取り付けるだけで設置が完了します。

下記の動画で設置方法をご紹介していますので、よろしければご参考ください。

音漏れを防ぐためのチェックリスト

ここでは、赤ちゃんの泣き声がお隣に伝わるのを防ぐためにできるチェックリストをご用意しました。

□ご近所の方にご挨拶できているか(可能であれば)
□ 室内に柔らかいもの(布団・クッションなど)を配置して、お部屋の響きを抑えられているか
□ 赤ちゃんの寝ている部屋が隣室から離れているか
□ 赤ちゃんの泣き声が何dB程度か計測し、どの程度の防音が理想か把握しているか
□ 上記に対して、何かしらの防音対策ができているか

よくある質問(Q&A)

Q1. 赤ちゃんの夜泣きによる音漏れが心配ですが、防音カーテンだけで効果はありますか?

A1. はい、防音カーテンで赤ちゃんの寝ているスペースを囲うことで、5〜10dBの音の軽減が期待できます。特に「防音カーテン コーズプレミア」は間仕切りで使用できる既製サイズをご用意しているので、コストパフォーマンスにも優れており、低予算でも導入しやすい対策です。

Q2. 木造アパートで夜泣きが近隣に聞こえる主な原因は何ですか?

A2. 主な原因は、① 壁の遮音性の低さ、② 周囲の静けさ、③ 赤ちゃんの泣き声の大きさの3点です。特に夜間は環境音が少ないため、泣き声がより目立ちやすくなります。

Q3. 赤ちゃんの泣き声対策として、カーテン以外にできる防音方法はありますか?

A3. はい、布団や洋服ラックを壁際に配置する簡単な吸音対策、壁にポリエステル製の吸音材や遮音シートを貼るDIY対策、またはワンタッチで設置できる防音パネルなども効果的です。

Q4. 低予算で赤ちゃんの夜泣きの声を防音したい場合、何から始めるのが良いですか?

A4. まずは音源(赤ちゃんの寝ている場所)の周りを、防音カーテンで囲う対策がおすすめです。その後、状況に応じて遮音性能が低い箇所に防音対策を行うのがおすすめです。

Q5. 赤ちゃんの泣き声はどのくらいの大きさで、どれくらいの防音が必要ですか?

A5. 赤ちゃんの泣き声は最大で約100dBに達することがあり、夜間の騒音基準(45dB)を大きく超えます。壁を通して隣室に60dB程度まで伝わる可能性があるため、少なくとも20dB以上の減衰を目指すのが理想です。

まとめ

赤ちゃんの夜泣きは成長過程において自然なことではありますが、その音がご近所にどのように聞こえているのか、不安に感じることもあるかと思います。自身で行える防音対策でも、ある程度の効果を期待することは可能ですが、完全に音漏れをなくすことは非常に難しいです。

無理のない範囲で、日頃から近隣の方々と良好な関係を築いておくことも、安心につながる一つの方法かもしれません。まずは、負担にならない範囲でできることから始めてみてはいかがでしょうか。