「うわーん!」寝室から聞こえる元気な赤ちゃんの泣き声、「カチャカチャ」キッチンから聞こえるフライパン・カトラリーの音。
――テレワークでは、オンライン会議のたびに生活音が入ってしまわないよう、“ミュート戦争” を繰り返していませんか?」
実は、カーテンを防音タイプに変えるだけでも、生活音程度なら約10dBほど、すなわち耳で聞こえる大きさが半減したように感じるレベルまで下げられることがわかっています。
そこで本記事では、工事不要・見た目スッキリを条件に、テレワークにおける家庭内でのリアルな声漏れ悩みを解決する方法を、防音専門店の視点でご提案します。
- 在宅での共働きカップル・夫婦
- 赤ちゃんや子供がいるご家庭
- ペットがいるご家庭
- リビングなどが近く家族の談笑が気になる方
などなど、お困りの方はぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。
テレワークにおける家庭内騒音問題の全体像
対策の前に、テレワークのときに気になってしまう生活音について見ていきましょう。
「同時テレワーク」あるある
おうちの中でテレワークしている家族が複数いると、こんなことが起こってしまいがちですよね。
- 作業場所の奪い合い
- 会議の時間が被ってお祭り騒ぎ
- 人の作業が目に入って気が散ってしまう
そもそも、同じタイミングでのテレワークだけでなく、家庭内でこんなシーンと重なることもありますよね。
- 赤ちゃんや子供の元気な声
- ペットの鳴き声
- 家族の話し声

その部屋、“音の溜まり場”になっていませんか?
私もそうなのですが、テレワークをやっているとちょこちょこ行われる電話やオンライン会議。
その際、基本的にはセキュリティ・プライバシーの観点から窓やドアを閉めて会話の内容が漏れてしまわないように心がけますよね。

音はものにぶつかると跳ね返ります。
これを反響と言い、跳ね返った音自体を反響音と言います。

書斎・作業部屋などの手頃なサイズのお部屋では、天井や壁、床の距離近いため、音がどんどん跳ね返って増幅してしまっているかもしれません。
“声漏れ度”チェック
「テレワークのときに家庭内の生活音が気になる」
これって、裏を返せば
「テレワークでの電話やオンライン会議の声が漏れている」可能性だって十分にあるんです。
家族に聞かれるのはまだしも、他所にお仕事の声が漏れてしまわないように、一度家庭でチェックしてみることをおすすめします。
おひとり暮らしの方は耳を澄まして、隣室や外の音(話し声・テレビ)が聞こえたら要注意です。

デシベル(dB)が気になるならアプリで
デシベル(dB)とは、分かりやすくいうと音量です。
漏れている音がどれくらいか気になる場合は、アプリの騒音計を使って測ってみましょう。
私たちがよく防音実験のときに使用している騒音計に比べると精度は落ちますが、目安になるのでおすすめです。

買う前に知っておく防音のキホン
話し声・テレビの音は「空気音」
空気音…空気を介して伝わる音。人の声、楽器の音、車の走行音などは空気音。
固体音…固体を介して伝わる音。床を歩いた時の音、壁を叩いた時の音などの衝撃や振動を指します。固体音は空気中に放射される際に空気音となる。

防音・遮音・吸音の違い
空気音は、吸音と遮音の働きをうまく使って防音します。
防音:「音を軽減すること・防ぐこと」を目的とする場合によく使われている言葉です。音の種類や方向によって様々な方法があります。
吸音:吸音材やクッションなどの物体に音がぶつかる(受け止めさせる)ことで、空気の振動が熱エネルギーへと変化し、物体の手前に反響する音や物体を抜ける音を減衰すること。
ピアリビングでよく吸音材と併用することをおすすめしている「遮音材」とは異なる働きをします。
遮音:密度や重量のあるものに音がぶつかる(受け止めさせる)ことで、物体の向こう側に伝わる空気の振動を遮断すること。
抜ける音を和らげる吸音とは違い、音を通さない(遮断する)ことを目的とします。
吸音材・遮音シートについては下記にわかりやすくまとめているので、ぜひご覧ください。
何dB下がると「体感が半分」になる?
ずばり10dBです。
10dB変わると、音圧には10倍の変化が起こります。
人間の耳では、10dBの軽減で「音が半減した」ように感じられると言われています。
音の大きさの尺度
音の大きさは対数尺度で表されます。これは、10dB(デシベル)増加すると音の強さは10倍になり、聞こえる大きさは2倍になるということです。
同様に、20dBは0dBの100倍の強さで、4倍大きく聞こえ、30dBは0dBの1000倍の強さで、8倍大きく聞こえます。
では、先ほどの音量の基準表を思い出してみてください。
通常の話し声で音量は50〜60dBほど。
数字だけで見ると小さいようですが、10dB軽減するのは、実は結構難しいことなのです。
見落としがちな“隙間”
空気音の防音にとって、隙間は大敵です。
空気の通り道は音の通り道。
今日はもうこれだけで良いので覚えておいていただけると嬉しいです。
すぐに出来る対策
まずはすぐに出来る対策を手頃な対策をご紹介します。
配置転換は音の向きに気をつけて
まずは作業スペースの配置を見直してみましょう。
音が行き交いやすい窓、出入り口からは出来るだけ距離をとります。

さらに、自分が声を発する方向にも気をつけてみましょう。
音は向きによって伝わるパワーが変わります。

隣室に面していない壁などのなるべく影響の少ない場所に向かうようにしてみてください。
百均・ホームセンターで隙間対策
窓やドア周りの隙間対策には、隙間テープがおすすめです。
ウレタン・ゴム・起毛などさまざまなタイプがあり、どれも安価で手に入れやすいです。

すきまテープ
引き戸やドア、クーラー取り付け部など隙間からの風や騒音を軽減します。冷気や熱気の通りも軽減できるので、外気温の影響が減り、エアコン効率がアップして節電につながります。
そのボリューム、必要?
そもそものお話になってしまい、防音専門店としては大変恐縮なのですが、
どうか、ボリュームを見直してください…!
もうこれがいちばん手っ取り早いんです。
もちろん、赤ちゃんや子供、ペットなど、自分で音量をコントロールするのが難しい場合は除きます。
ただ、大人同士の談笑やテレビの音など、どうにか調整できる音については、いま一度お互いへの配慮をお願いします。
発せられた音が小さいほど、対策は簡易で済むのですから。

周辺のオーディオ機器や設定を見直す
ボリューム調整の話とも重なるのですが、大きな音を出さずに済むように、オーディオ環境を見直すのもおすすめです。
マイクなどの入力機器は、周囲の音を拾いづらいような機能のものもしくはそういった設定に変え、スピーカーなどの出力機器は、ノイズキャンセル機能付きのイヤホンや、手元スピーカーなどがおすすめです。

防音用品を使ってしっかり対策
防音カーテンを窓と仕切りに
話し声やテレビの音程度であれば、防音カーテンを使って十分に対策が可能です。
窓から漏れる音には、通常のカーテンのように防音カーテンを設置してください。
おすすめの防音カーテン

防音カーテン「コーズプレミア」
ピアリビングで人気No.1の防音カーテン。3枚の布を縫い合わせた厚みのある仕様で、重量感が特徴。光沢のある上品なデザインに加え、優れた遮光・断熱効果を発揮。既製サイズとオーダーサイズを用意。
防音効果:★★★☆☆/高密度生地/断熱・遮光1級/既製(幅110cm×丈135~250cm)orオーダーサイズ/2~3色展開/14,740円(税込)~

防音カーテン「コーズ」
表面のワッフル構造が、室内に響く音をキャッチして和らげます。厚み・重量を兼ね備え、優れた遮光・断熱効果を発揮。既製サイズとオーダーサイズを用意。
防音効果:★★★☆☆/高密度生地/断熱・遮光1級/既製(幅110cm×丈135~250cm)orオーダーサイズ/2~3色展開/14,740円(税込)~

かんたん防音ライナー
カーテンの裏に取り付けるだけで防音できるアイテム。断熱や遮光機能もあり。既成サイズとオーダーサイズを用意。
高密度生地/簡単取付・断熱・保温・遮光/既製(幅105cm×丈97~207cm)orオーダーサイズ/8,690円(税込)~
仕切りとして使う場合には、突っ張り棒や突っ張りタイプのカーテンレールなどを活用して設置いただけます。
突っ張り棒が使える間仕切りカーテン
音を遮る防音カーテンは重い
ピアリビングの防音カーテンは、音(空気)の振動を遮るために厚さと重量を持たせています。そのため、突っ張り棒、突っ張りタイプのカーテンレールを使用する場合には、あらかじめカーテンの重量と設置部材の耐荷重をご確認ください。
こちらの記事で防音カーテンの効果について詳しく解説しています
防音ブースを活用する
間仕切り型の防音ブースを設置して、周囲の音をガードする”囲い”を設ける方法もございます。

ピアリビングのオリジナル防音パネル「ワンタッチ防音壁」・取付部材(塩ビジョイナー・ラブリコ・2×4材)を使って自身でブースを作る方法です。ブースを作る際は、極力開口部を少なくした方が効果が得られやすいです。
間仕切りは音の発生源をメインに対策
空間を仕切って防音する場合は、発生する音が最も大きい場所を囲うようにして対策します。

作業スペースを囲うようにしての対策なので、省スペースで対策することができます。

▼間仕切りを活用しての防音は、ぜひ下の動画をご参考ください。
【番外編】簡易防音室を使用する
個室である防音室は、壁や窓などのパーツごとの対策に比べてさらに効率的な防音が可能です。
ピアリビングのオリジナル防音室「おてがるーむ」は、接着やビス留めが不要のため、手軽に導入いただけます。また、組み立て→解体→再組み立てが可能でお引越しがあっても安心です。

簡組立式防音室 おてがるーむ
平均最大27dBの軽減効果(500Hzの場合)/吸音×遮音のサンドイッチ構造/簡単設置・再組立可/内寸幅815×高さ1880×奥行き1110mm/2色展開
価格:209,000円(税込)
【まとめ】まずはボリュームと周辺機器の見直しを
防音専門用品を販売している立場でこんなことを言うのは複雑ですが、どの環境でも効率よくテレワークするには、
出来る限りボリュームを落とし、
ノイズカットやボイスフォーカスなどの高機能な周辺機器を味方につけるのが、一番手っ取り早いかと思います。
その上で、赤ちゃん・お子様の元気な声やペットの鳴き声など、不可抗力で漏れてしまう音については、防音カーテンや防音マットなどの、インテリアタイプでの対策をご活用いただければと思います。
防音で困ったことがありましたら、いつでもピアリビングにご相談ください。
取り扱っている商品以外のご相談でも、スタッフが全力を尽くしてサポートさせていただきます。

よくある質問
Q1.「防音」「遮音」「吸音」の違いは何ですか?
A.
吸音:音を壁・仕切り・天井などで “吸収” して反射を減らす。
遮音:音の “通過” を防ぐ・遮る。
防音:広義には吸音+遮音を含む、音をコントロールする総合的な対策。
Q2:工事なしでできる防音仕切りの具体的方法は?
A.
配置転換:音源/受け手の位置・家具の配置を見直す。
隙間対策:ドア・窓・壁のすき間を百均・ホームセンターのアイテムで塞ぐ。
防音カーテン・仕切りカーテン・突っ張り棒仕切り:簡易的に仕切りを作る手法。
Q3:防音仕切りだけで十分ですか、それとも他の対策も必要ですか?
Q3:防音仕切りだけで十分ですか、それとも他の対策も必要ですか?
A:仕切りは効果的な “入口” ですが、音漏れを完全に防ぐには壁・床・天井・ドア・窓・隙間など複数のルートを同時に考える必要があります。部屋全体を工事で防音しなくても、仕切りで必要な範囲だけ抑えるのが効率的です。

