「マンションだけどピアノを弾きたい。でも苦情にならないか心配…」

ピアノは子どもから大人まで気軽に楽しめる楽器で、趣味や習い事として始める方が多いのではないでしょうか。しかし、マンションでの演奏は周囲への音漏れがトラブルに発展することもあります。

そこで、この記事では演奏前には必ず確認すべきポイントやピアノの音漏れの仕組みを解説します。また、賃貸マンションでもできる床の防音対策について、実際にRC造のマンションで検証した結果を元に効果的な防音マットをご紹介します。

【今回のお悩み】
物件:RC造の賃貸マンション
どこに対して:隣室・上階・階下
音の種類:ピアノの演奏音・打鍵音・ペダル音
いつ:休日や夜間
音の大きさ:60〜100dB
目次
  1. マンションの管理規約でわかる「演奏OK/NG」3タイプ
  2. 楽器演奏可能なマンションなら防音対策しなくていいの?
  3. ピアノが発生させる 2 つの音と音漏れの仕組み
  4. どのくらいまで音を抑えたらいい?
  5. ピアノを導入する前のチェックポイント
    1. 電子ピアノやハイブリットピアノを選ぶ
    2. 消音ユニットを取り付ける
    3. インシュレーターを脚下に設置する
    4. ピアノを置く位置を気を付ける
  6. ピアノの打鍵音・ペダル音に効果的な防音マットは?
  7. RCマンションでピアノの防音実験してみた
  8. 防音マット使用者のレビューをご紹介
    1. 防音ラグ「快適防音マットウッド」+下敷き用防音マット「足音マット」
    2. 防音タイルカーペット「静床ライト」+下敷き用防音マット「足音マット」
  9. あなたの演奏スタイルに合った防音対策を
  10. まとめ
  11. よくある質問(FAQ)
    1. Q.マンションの管理規約に「楽器演奏禁止」と書かれていたら、ピアノ演奏は本当にできないの?
    2. Q.「演奏可」や「電子ピアノのみ OK」でも、防音マットなどの防音対策は必要?
    3. Q.電子ピアノやハイブリッドピアノなら苦情は起こらない?
    4. Q.ピアノの打鍵音やペダル音を軽減できる効果的な防音対策は?
    5. Q.RC造マンションでもピアノの音はどこまで伝わる?
    6. Q.ピアノを置く位置はどこがベスト?
    7. Q. 防音相談を受けることはできますか?

マンションの管理規約でわかる「演奏OK/NG」3タイプ

今住んでいるマンションでピアノを弾きたいと思ったら、まずはマンションの管理規約でピアノ演奏が許可されているか確認しましょう。マンションがピアノを許可しているのかどうかは、管理規約・使用細則・入居時覚書などに楽器の使用についてのルールが明記されています。

演奏禁止物件

管理規約に「楽器演奏を禁ずる」と書いてあった場合、基本的にマンション内でピアノの練習はできません。どうしてもピアノを導入したい場合は楽器OKの物件に引越しを検討しましょう。

・条件付き OK 物件

「電子ピアノのみ」「アップライト不可」「20 時以降は不可」など、マンションのルールによって時間帯や楽器の種類などの一部条件つきで楽器の演奏が可能な場合もあります。ピアノを設置する際に管理組合や管理会社に申請が必要かなども念の為確認しておきましょう。

・演奏可物件

「楽器演奏可」となっている場合でも、時間帯や音量に制限がある場合があります。マンションによって時間帯は異なりますので、事前に確認しておきましょう。

楽器演奏可能なマンションなら防音対策しなくていいの?

管理規約でピアノの演奏が認められている場合でも、演奏音や打鍵音、ペダル音で周囲に迷惑をかけないよう、お部屋の防音対策を検討しましょう。

ピアノの音は、皆さんが考えている以上に大きく、防音対策をせずに演奏した場合には、同じマンション内の住人以外でも近隣住民から苦情が出る可能性があります。

賃貸でも導入しやすいアップライトピアノで90〜110dB、電子ピアノでも60〜80dBと非常に大きい音が出る上に、幅広い音域(約30Hz〜4,000Hz超)の音が出るため、壁や床を通じて他の階や隙間ができやすい窓などから近隣に音が漏れてしまいます。

ピアノが発生させる 2 つの音と音漏れの仕組み

ピアノ音は音色などの空気伝搬音とペダル音・打鍵音などの固体伝搬音の2種類あります。

空気伝搬音

空気伝搬音とは、空気が振動して伝わる音です。そもそもピアノが音を出す仕組みは、鍵盤を弾くとハンマーが弦を叩き、背面の響板全体がスピーカーの振動板のように震えて音が出るようになっています。前述した通り90〜110dBの非常に大きな音で響く音色などは、壁や窓、ドアなどから近隣へと音が漏れてしまいます。

固体伝搬音

固体伝搬音とは、固体(壁や床など)を振動させて伝わる音です。ピアノの打鍵音、ペダル音などの低音域(50〜250 Hz)は波長が長く、構造体そのものを揺らして伝わる音のため固定脚から床スラブに直接エネルギーが入り込み、広い範囲へ響いてしまいます。

どのくらいまで音を抑えたらいい?

私たちが普段暮らしている中で「これくらいの音の大きさが望ましい」という目安は、環境省の「環境基準」で定められています。

住宅地の場合は、昼間は55dB以下、夜間は45dB以下が理想とされています。(※参照:環境省 騒音に係る環境基準

例えば、RC造のマンションでピアノの音が100dBほどの音が出ていた場合、隣室では壁越しに約50dB、窓を通して屋外に約70dB、床から下の階へは約60dB近い音が届いてしまいます。

そのため、ピアノを演奏する音を15〜20dB軽減を目安に防音対策が必要となります。

ピアノを導入する前のチェックポイント

電子ピアノやハイブリットピアノを選ぶ

一般的に、マンションなどでピアノを演奏する際には、ヘッドホンを装着することで音が出なくなる電子ピアノがおすすめされます。ただ、電子ピアノだとしても、固体伝搬音が発生するので、床の防音対策は必要になります。

消音ユニットを取り付ける

すでに持っているアップライトピアノに後付けする消音ユニットも効果的です。ハンマー先端に特殊フェルトやゴムパッドを装着し、発生する振動を電子信号に変換することで消音ピアノへ簡単に切り替えができるようになります。電子ピアノと同様にヘッドホンでの練習で空気伝搬音は周囲への音漏れを防ぐことができます。

インシュレーターを脚下に設置する

インシュレーターはピアノの脚(キャスター)下に敷く防振パーツで、床に伝わる振動を吸収・緩和する効果があります。インシュレーターの素材には、プラスチック、木、ゴムなどの素材だけでなく、振動を軽減できるような構造、地震の際にピアノが倒れたりすべりにくい構造など様々です。

防音インシュレーターは、ゴム製のものが多く、厚みがあり接地面が小さくなるほど効果が高くなります。防音マットやカーペットの併用でさらに効果が高まり、防音対策の最初の一手として最適です。

インシュレーターについて、下記の記事でも詳しく解説しているので、良ければご覧ください。

ピアノを置く位置を気を付ける

アップライトピアノで音を出す場合、響板が背面にあるため、なるべく隣室や窓から離した位置に置くようにしましょう。

画像のような間取りの場合、Aの位置ではなく、BやCなどの位置がおすすめです。

また、窓がある洋室のBの位置より、Cの位置の方が近隣への音漏れを軽減することができます。

ピアノの打鍵音・ペダル音に効果的な防音マットは?

ピアノの打鍵音・ペダル音などの固体伝播音は床だけでなく、壁にも響いてしまい、マンションの広い範囲に伝わってしまいます。

そのため、防音マットで対策する際は、「下地のクッション性」「厚み」「重量」の3点を重視することで、下の階に伝わる振動を和らげてくれます。

ピアリビングの防音マットですと、防音タイルカーペット「静床ライト」や防音ラグ「快適防音マットウッド」に下敷き用防音マット「足音マット」を組み合わせる方法が考えられます。

快適防音マットウッド」はアップライトピアノや電子ピアノの下にぴったり合う70cm×160cmサイズがございます。さっと敷くだけで3重構造と高密度なバッキングにより振動を吸収してくれます。

防音ラグ「快適防音マットウッド」

防音効果:ΔLL-6/600g/㎡の高密度素材/抗菌・防ダニ・防臭・止水性・耐久性/3サイズ/2色展開/17,600円(税込)~

静床ライト足音マットの組み合わせでは、ピアノと椅子の下だけでなく、お部屋全体に敷くこともできるため、好きな範囲を対策したい方におすすめです。

静床ライト

防音タイルカーペット「静床ライト」

防音効果:ΔLL-4/特殊な3重構造/保温・断熱・防ダニ・防炎機能・カット可/50cm×50cm/12色展開/2,442円(税込)~

下敷き用防音マット「足音マット」

防音効果:ΔLL-3 / 特殊な3層構造 / カット可 / 50×100cm・幅100cmロール / 3,630円(税込)~

RCマンションでピアノの防音実験してみた

RC造のマンションでピアノの打鍵音・ペダル音を想定した音をタッピングマシンで発生させて、対策なしの床だとどのくらい下の階に響いているのか、防音マットを敷いてどのくらい軽減できるのか検証してみました。

▼検証したRC造マンションの情報
築年月:2018年
スラブ厚:200mm
構造:二重床

今回は、防音タイルカーペット「静床ライト」に下敷き用防音マット「足音マット」を重ねて敷いて検証しました。

▼実験結果はこちら

仕様OA(dB)63 Hz125 Hz250 Hz500 Hz対策なしからの低減量
対策なし61.448.859.854.548.9
快適防音マットウッド+足音マット48.347.739.420.013.7-13.1 dB
静床ライト+足音マット45.444.238.923.121.8-16.0 dB

※OA(Overall A-weighted Level)」は、63 Hz・125 Hz … 4 kHz までの各バンドで測った “A特性補正済みの音圧レベル” を「エネルギー和」で足し直した総合値

対策なしでは平均61dBほどの音が下の階に響いており、体感としては低音のドンドンという音が天井から耳に響くような感じでした。

一方、ピアリビングの防音マットを敷いて対策した場合では、10dB以上音が軽減されました。10dBほど軽減することで体感では音が半減したように感じます。ドンドンと直接耳に響いていた音が少し遠くに感じられ、日中の練習では問題ないレベルまで音が軽減されました。

防音マット使用者のレビューをご紹介

実際にピアノの床の対策でピアリビングの防音マットを使用いただいているお客様のレビューをご紹介します。

防音ラグ「快適防音マットウッド」+下敷き用防音マット「足音マット

Nさま★★★★★

快適防音マットの色合い、デザイン、質感最高でした。ピアノの購入を機にこちらの商品(快適防音マット)を購入しました。打つ音(防音シート、足音マット)が階下の方への配慮に繋がっていると思います。

防音タイルカーペット「静床ライト」+下敷き用防音マット「足音マット

soysoyさま ★★★★★

電子ピアノのスペースに敷くために購入しました。しっかりした厚さなのに普通のカッターで簡単に切ることができて設置が楽にできました!

足触りも良く、ピンクのカーペットで部屋に明るさが出たのでお気に入りです。

あなたの演奏スタイルに合った防音対策を

時間を気にせずにしっかり音を出して演奏したい場合は、24時間楽器演奏が可能な防音賃貸マンションへの引越しや室内にユニット型防音室を設置する方法も考えられます。

ユニット型防音室とは、お部屋の中に、あらかじめ工場で製造されたユニットを組み立てて設置するタイプの防音室です。音を全て囲うことができる防音室は。楽器を防音する際にかなり有効な対策方法です。性能の目安としては、 Dr-40=500 Hz 帯で約-40 dB 減衰と高い効果を得ることができます。

ただ、アップライトピアノが入る防音室のサイズですと100〜200万円+組立費用+運送費用がかかります。重量も200〜500 kg程となるため、事前に管理会社の許可が必要になってきます。搬入する際もユニットサイズが固定のため梁や間口が狭い物件では搬入が難しいケースもあるので注意です。

まとめ

今回はこれからピアノを始める方にとって、大掛かりな対策は難しいけど、トラブルにならないように最低限できる対策方法についてご紹介しました。

あなたの演奏スタイルや予算、お部屋の状況に合わせて賃貸でもできる対策方法はたくさんあります。お部屋をまるごと防音対策したい方向けに詳しく解説した記事もございますので、今回ご紹介した内容と合わせて参考にされてみてください。

また、ピアリビングでは無料の防音相談も受け付けています。LINEやビデオ通話などから防音のプロがあなたに合った対策方法をご提案します。気軽にご相談ください。

お問い合わせ

よくある質問(FAQ)

Q.マンションの管理規約に「楽器演奏禁止」と書かれていたら、ピアノ演奏は本当にできないの?

A.原則は不可です。管理規約・使用細則・覚書で「楽器演奏を禁ずる」と明記されている場合、演奏は契約違反となり苦情や退去勧告のリスクがあります。どうしてもピアノを置きたい場合は「楽器可」物件への住み替えが現実的です。

Q.「演奏可」や「電子ピアノのみ OK」でも、防音マットなどの防音対策は必要?

A.はい。許可物件でも時間帯・音量制限があり、打鍵音やペダル音など固体伝搬音が階下に響きます。−20 dB程度の軽減を目標に、防音マットやインシュレーターを併用しましょう。

Q.電子ピアノやハイブリッドピアノなら苦情は起こらない?

A.ヘッドホン使用で空気伝搬音は抑えられますが、打鍵音・ペダル音(50〜250 Hz)が床スラブへ伝わるため、防音マットでの振動吸収は必須です。

Q.ピアノの打鍵音やペダル音を軽減できる効果的な防音対策は?

A.下地にクッション性・厚み・重量がある「足音マット」+防音タイルカーペット「静床ライト」や、防音ラグ「快適防音マットウッド」を重ね敷きすると、RC造でも10〜16 dB減衰を確認できます。

Q.RC造マンションでもピアノの音はどこまで伝わる?

A.RC造のマンションでピアノの音が100dBほどの音が出ていた場合、隣室では壁越しに約50dB、窓を通して屋外に約70dB、床から下の階へは約60dB近い音が届いてしまいます。RC の遮音性が高くても躯体を通じて伝わる個体伝播音は残るため要注意です。

Q.ピアノを置く位置はどこがベスト?

響板が背面にあるアップライトは、隣室の壁・窓から離し、部屋中央寄りまたは対角線方向の壁に背を向ける配置が推奨。

Q. 防音相談を受けることはできますか?

A. はい、防音専門のピアリビングでは無料の防音相談を実施しています。お客様の環境や目的に応じた最適な防音対策をご提案いたします。