エステやマッサージのようなリラクゼーションを目的としたサロンにとって、静かな環境や癒しの空間はサービスの一部と言っても過言ではありません。お客様が心からリラックスし、施術に満足していただくためには、音の問題は避けたいですよね。

今回の記事では、騒音がなぜクレームに発展するのか、そして騒音が心身にどのような影響を与えるのかを解説し、音の種類別に効果的な防音対策についてご紹介します。

【今回のお悩み】
物件:マンションorテナント
どこから:窓・ドア・間仕切り
音の種類:外からの交通騒音・話声
音の大きさ:60〜80dB

騒音がクレームに変わるメカニズム

サロンでは「静けさが当たり前」という期待が高いため、普段は気にならない音でも苦情に発展しやすいため要注意です。

1. 期待とのギャップ

お客様は「リラックスしたい」「癒されたい」という明確な目的を持ってサロンに来店されます。静かで落ち着いた非日常的な空間を期待しているため、その期待が裏切られた時の失望感は非常に大きくなります。特に、お金を払ってサービスを受ける以上、その対価として適切な環境が提供されることを当然と考えます。そのため、予期せぬ交通騒音や隣の会話が聞こえてくると、「リラックスできない」「お金を払っているのに」という不満に直結しやすくなります。

2. 音のコントロール不可能性

自分でコントロールできない音に対して、人は強いストレスを感じる傾向があります。サロンで聞こえてくる騒音は、お客様自身ではどうすることもできません。この「コントロールできない」という状況が、無力感やイライラを増幅させ、クレームへと発展する一因となります。

3. 「癒しの空間」もサービスの一部

エステやマッサージサロンにおいて、「静寂」は単なる環境ではなく、お客様に提供するサービスの重要な一部です。心地よい音楽やアロマの香りも、静かな環境があってこそその効果を最大限に発揮します。騒音は、この基本的なサービス価値を根底から揺るがす要因となってしまうのです。

4. スタッフの集中力低下と雰囲気の悪化

外部の騒音や隣の施術スペースからの声は、お客様だけでなく、施術を行うスタッフの集中力も削いでしまいます。集中力が欠けた状態では、最高のパフォーマンスを発揮することは難しく、サービスの質の低下にも繋がりかねません。

騒音が与えるストレスとdB目安

音の大きさは「dB(デシベル)」という単位で表されます。まずは、ご自身のサロンが現在どのような音環境にあるのかを客観的に把握しましょう。

【音の大きさ(dB)の目安】

人は50dBを超えると心理的負荷が跳ね上がり始めます。70 dB 〜 80 dB は救急車のサイレンや地下鉄車内の騒音に相当し、心拍数の増加や血圧の上昇を引き起こします。(※参照:騒音の心 理 ・生理学的影響

環境省が定める騒音に係る環境基準では、療養施設などが集まる特に静穏を要する地域では、昼間50dB以下、夜間40dB以下とされています。(※参照:環境省 騒音に係る環境基準)リラクゼーションを目的とするサロンも、これに近い静かな環境が理想です。

よくある騒音クレームの「外から聞こえる車の音」や「サロン内での話し声」は60〜80dBほどに値するため、お客様の満足度を著しく低下させるレベルであると認識することが、対策への第一歩となります。

H2サロンで起こりうる騒音クレームとは?

ここでは、特に多く寄せられる2つの代表的な騒音クレームについて見ていきましょう。

「外からの車の音、電車の音がうるさい」

サロンの立地条件と建物の防音性能に起因しますが、よくある騒音クレームです。車の音だとロードノイズのような「シャー」という高音からエンジン音のような低音まで幅広く、音の大きさも60〜70dBと不快に感じやすい音です。電車の音も同様にレールと車輪が擦れて「キーン」という金属的な高音から「ガタンゴトン」と低音まで響く音が、最大で100dB近く大きく響いてくるケースもあります。

【クレームが発生しやすい状況】

  • 施術が始まり、お客様がウトウトと心地よくなってきた瞬間に、救急車のサイレンが鳴り響く。
  • ヒーリングミュージックに耳を澄ませていると、電車の通過する「ガタンゴトン」という大きな音と振動が伝わってくる。
  • 幹線道路沿いのため、大型トラックが通過する際の「ゴーッ」という地響きのような音が断続的に聞こえる。

お客様としては、最もリラックスしている状態から、突然「日常の騒音」によって現実世界に引き戻されることによって「せっかく気持ちよくなってきたのに台無しにされた」と感じてしまいます。

特に、ウトウトと眠りに落ちかけている浅い睡眠状態は、外部の音に非常に敏感です。突発的な大きな音は、驚きや不快感を伴う覚醒を強いるため、リラックスとは正反対のストレスを与えてしまいます。

外からの騒音の主な原因は「窓」です。特に窓は隙間ができやすく、音の侵入経路として最も脆弱な部分なため、対策が必要となります。

「他の人の話し声が気になる」

【クレームが発生しやすい状況】

  • 隣の施術スペースから、他のお客様とスタッフのカウンセリング内容が聞こえてくる。
  • 薄いカーテン一枚で仕切られているため、隣のベッドの人のイビキや、身じろぎする音まで気になる。
  • 受付やスタッフルームでの会話が大きく、施術室まで響いてくる。

他の人の会話が聞こえるということは、「自分の話も聞かれているのではないか」という強い不安につながります。特に、体型や肌の悩みといったデリケートな内容を話している場合、プライバシーが守られていない環境に大きな不満と不信感を抱きます。

主な原因は「間仕切り」と「スタッフの意識」です。施術スペース間の仕切りが不十分であることや、スタッフ間の会話のルールが徹底されていないことでクレームに繋がってしまうケースがあります。

騒音クレームを未然に防ぐ防音対策とは?

騒音問題を解決し、お客様に心からリラックスしていただくためには、音の特性に合わせた防音対策をすることが重要です。特に、音の侵入・漏洩経路となりやすい「窓」「ドア」「間仕切り」への対策が重要となります。

窓から入る交通騒音を対策する方法

外部からの騒音で最も大きな原因となるのが「窓」です。特に、低い音(低周波音)は、建物を振動させて伝わる性質があり、対策が難しいのが特徴です。

防音カーテンでは高い音に有効

まず手軽に試せる対策として「防音カーテン」があります。防音カーテンはロードノイズの「シャー」という音や踏切の警報音のような比較的高い音(高周波音)に対して、音を和らげる効果が期待できます

ピアリビングの防音カーテン「コーズプレミア」は、一般的なカーテンよりも高密度な生地を3枚組み合わせた多層構造で作られており、それぞれの層で音を段階的に軽減することが可能です。

2kHz〜8kHzの高音域の音には-5〜6dBほどの効果を得ることができます。体感として、耳に響く音が柔らかくなり、「やや音が小さくなったと感じる」レベルです。ただし、500Hz以下の車のエンジン音や電車の「ゴトンゴトン」という低い音に対しては、防音カーテンだけで対策することが難しいと言えます。

防音カーテンコーズプレミア

防音カーテンとは思えない柔らかな手触りが特徴。

防音効果:★★★(3〜5.9dB減)/高密度生地/断熱・遮光1級/既製(幅110cm×丈135~250cm)orオーダーサイズ/2~3色展開/14,740円(税込)~

低い音を対策するなら窓用の防音ボード

交通騒音のような低い音までしっかり対策したい場合に絶大な効果を発揮するのがピアリビングの「窓用ワンタッチ防音ボード」です。

これは、窓枠にはめ込むだけで設置できる防音ボードで、発生した音を吸収する「吸音材」 と、お隣への音を遮断する「遮音材」を組み合わせたサンドイッチ構造になっています。

使用している吸音材は、通常よりも密度の高い96kg/m3のグラスウールを採用しているため、吸音性に加えて遮音性も高めています。工事不要で、賃貸物件でも安心して設置できるのが大きなメリットです。

250hz〜800Hzの低音域の音でも-5〜9dBほどの効果を得ることができ、高音域の音では15dB以上、音を軽減することができます。10dBほど軽減することで体感では音が半減したように感じます。

窓用ワンタッチ防音ボード

防音ボード「窓用ワンタッチ防音ボード」

賃貸OK!吸音材+遮音材を内蔵した防音ボード

防音効果:★★★★★★(12〜14.9dB減)/高気密+サンドイッチ構造/賃貸OK/幅300~3655mm×高さ300~2100mm,58mm厚/10色展開/22,000円(税込)~

防音カーテンと窓用防音ボードで効果を検証してみた

こちらの動画では、特殊な試験場で様々な高さの音を流し、対策前、一般的な遮音カーテン、防音カーテン「コーズプレミア」、そして「窓用ワンタッチ防音ボード」を設置した際の効果の比較を検証しています。よろしければご覧ください。

ドア・間仕切りで漏れる話し声の対策

次に、サロン内部での音漏れ、特に「話し声」の問題です。お客様のプライバシーを守り、スタッフが働きやすい環境を作るためにも対策は必要です。

間仕切りやドアからの話し声を対策する方法

話し声は、交通騒音に比べると比較的高い周波数の音です。そのため、「防音カーテン」で軽減しやすい音となります。ただ、防音カーテンで完全に音を消すことは難しいため、マスキング効果のある音楽と併用することで、話し声が気にならない程度になります。

ドアの前や施術スペースの仕切りとして、ピアリビングの「防音カーテンコーズ両面仕様」や防炎機能が必要な場合は「防音カーテンコーズ 防炎タイプ」がおすすめです。

どちらも生地の厚みと層にこだわり4枚の布を使用し縫製。両面ともご選択いただいたカラーの生地で仕上がるため、間仕切りなどにもご活用いただけます。

特に「防音カーテンコーズ 両面仕様」は防音効果が高く、人の話し声程度の音であれば、最大8dBの防音効果が得られます。これは「明確に小さくなり、聞こえ方が半分になる」レベルです。

防音カーテンコーズ両面仕様

防音カーテンコーズ両面仕様

防音カーテンコーズをリバーシブルに改良しました。

防音効果:★★★★(6〜8.9dB)/高密度生地+凸凹吸音布/両面同生地・断熱・保温・遮光1級/オーダーサイズのみ/5色展開/24,970円(税込)~

防音カーテン コーズ防炎タイプ

消防法をクリアした日本製の防音カーテン。
防音効果:★★★(3〜5.9dB減)/高密度生地/断熱・遮光1級・防炎・片面or両面生地/オーダーサイズ/9色展開/19,800円(税込)~

防音カーテンで効果を検証してみた

こちらの動画では、「ドア用防音カーテンコーズ」で話し声、音楽、掃除機の音がどれくらい軽減できるのか検証しています。女性の話し声では、-8.1dBの軽減となりました。動画上では、かなり大きな話し声で検証していますが、サロンでの話し声はもう少し小さいため聞こえ方は変わるかと思いますが、よろしければ参考にご覧ください。

まとめ

サロンの騒音対策は、音の特性に合わせて窓・ドア・間仕切りへの対策をすることが重要となります。窓から入る交通騒音に対しては、高音なら防音カーテン、車のエンジン音のような低音には窓用の防音ボードが有効です。

また、プライバシーに関わる話し声の漏洩は、ドアや間仕切りにも防音カーテンを設置することで軽減できます。賃貸物件でも可能な対策を導入し、お客様が心から安心できる静かな空間を実現しましょう。

よくある質問

Q1. サロン開業時に最も多い騒音クレームは何ですか?

A. 外部からの交通騒音(60〜70 dB)と隣室の話し声が代表的です。特に「静かな癒し空間」を期待するお客様は小さな音でもストレスを感じやすく、クレームへ発展しがちです。

Q2. 騒音が60 dBを超えるとサロン利用者にどんな影響がありますか?

A. 50 dBを超えた辺りから心理的負荷が増し、70〜80 dBでは心拍数や血圧の上昇が確認されます。リラクゼーション効果が大幅に低下するため、昼間は50 dB以下を目指しましょう。

Q3. 防音カーテンだけで車のエンジン音を防げますか?

A. 高周波音(2 kHz〜8 kHz)は約-5〜6 dB抑えられますが、500 Hz以下の低音には不十分です。窓用防音ボードとの併用が効果的です。

Q4. 窓用防音ボードの防音効果は?

A. ピアリビングの「窓用ワンタッチ防音ボード」は低音域250〜800 Hzで-5〜9 dB、高音域では15 dB以上軽減し、体感的に“音が半分”になるレベルです。賃貸物件でも工具不要で設置できます。

Q5. 施術スペース間の話し声対策はカーテンだけで十分?

A. カーテンで-8 dB程度軽減できますが、ヒーリング音楽でマスキングするとより効果的です。スタッフ同士の会話音量ルールも設定しましょう。

Q9. 防音相談を受けることはできますか?

A. はい、防音専門のピアリビングでは無料の防音相談を実施しています。お客様の環境や目的に応じた最適な防音対策をご提案いたします。