「楽器可の物件だから、思いきり弾いても大丈夫」
そう思って入居したものの、いざ演奏してみると周囲への音が気になって、時間帯や音量に気を遣ってしまう――。そんなお悩みをよく伺います。

楽器可物件は「楽器演奏を禁止していない」というだけで、多くは一般的な住宅と同じ構造です。だからこそ、防音対策と、もうひとつ大切なのがご近所とのコミュニケーションです。

今回は、集合住宅で楽器を楽しむお客様の事例を2つご紹介します。

「楽器可」「楽器相談可」の物件でも、防音仕様とは限りません。特にグランドピアノやドラムは、空気を伝わる音より床を伝わる振動(固体音)が問題になりやすい楽器です。
今回ご紹介する2つの事例では、床の防振・防音対策を行ったうえで隣人に実際に音を確認してもらうことで、「アップライトの時より聞こえない」「いつ叩いているのかすら分からなかった」という評価を得られました。

楽器可物件でも防音対策が必要な理由

楽器の音は、大きく2つの経路で伝わります。

音の種類伝わり方主な対策
空気音空気を通じて、窓・壁・ドアから漏れる防音カーテン、防音パネル
固体音(振動)床や壁などの建物そのものを伝わる防音マット、防振マット
楽器音の伝わり方

グランドピアノやドラムは、脚やペダル、キックの振動が床から建物全体に伝わりやすい楽器です。固体音は上下階や斜め下の部屋にまで届くことがあり、「楽器可物件なのに苦情が来た」というケースの多くはこの固体音が原因です。

そのため、集合住宅での楽器演奏では、まず床の対策から考えるのが効果的です。

事例1:楽器相談可の賃貸マンションで、四畳半にグランドピアノ(O様)

楽器か物件でグランドピアノの設置事例(O様)

防音対策を検討された背景

O様はもともとショールームにご来店いただき、アップライトピアノの音漏れ対策として防音カーテンを導入されていました。その後、ご友人からグランドピアノを譲り受けられたことをきっかけに、床の防音対策についてLINEでご相談いただきました。

お住まいは築40年・鉄骨造・3DKの賃貸マンション。「楽器相談可」の物件ではあるものの防音仕様ではないため、「どの程度対策すれば安心して演奏できるのか」とお悩みでした。

ご提案した対策:床全面の「二重構造」

グランドピアノを置くお部屋は四畳半とコンパクトだったため、ピアノの下だけでなく床全体の防音性を高める方法をご提案しました。

  1. 下敷き用の防音マット「足音マット」をベースに敷く
  2. その上から防音タイルカーペット「静床ライト」を重ねる

この二重構造を、お部屋全面に設置いただいています。窓には、以前ご購入いただいた防音カーテンを引き続きご使用中です。

設置いただいた商品と費用

対策箇所商品数量・仕様価格
床(上層)静床ライト27枚[N-12 ライトブラウン]38,269円
床(下層)足音マット14枚50,820円
窓防音カーテン Otonagi幅110cm×丈178cm 2枚組[グレーベージュ]31,000円
合計120,089円

※価格はご購入時のものです。

静床ライト

防音タイルカーペット「静床ライト」

カラバリ豊富でどんなお部屋にも設置しやすい防音タイルカーペット

防音効果:ΔLL-4/特殊な3重構造/保温・断熱・防ダニ・防炎機能・カット可/50cm×50cm/9色展開

価格:2,442円(税込)~

下敷き用防音マット「足音マット」

ラグやジョイントマット、タイルカーペットの下に重ねることで、防音効果を後付け出来ます。

防音効果:ΔLL-3特殊な3層構造/カット可/50×100cm・幅100cmロール

価格:3,630円(税込)~

防音カーテン Otonagi

防音カーテン「Otonagi」

3枚の布を縫い合わせた厚みのある仕様で、扱いやすさが特徴。光沢のある上品なデザインに加え、優れた遮光・断熱効果を発揮。既製サイズとオーダーサイズを用意。

防音効果:★★★☆☆/高密度生地/断熱・遮光1級/既製(幅110cm×丈135~250cm)orオーダーサイズ/2~3色展開

価格:14,740円(税込)~

施工時の注意点:床が高くなると「ドアが閉まらない」ことも

O様からは、施工中のリアルなエピソードも教えていただきました。

「計算上はドアの隙間は通るはずでしたが、静床ライトを上に乗せていく途中でドアが閉まらない事に気づき、その部分は足音マットを外したり、隣のマットの落差を無くすために部分的にカットして再び戻したり…」

マットを重ねて敷く場合は、ドア下のすき間(クリアランス)を事前に測っておくと安心です。ドアの開閉範囲だけ一層にする、段差部分をカットして調整するといった工夫で対応できます。

対策後のお声

「LINEでかなり細かい所まで作図して枚数まで説明していただいたのが本当に助かりました。
お隣さん曰く『アップライトの時より音が聞こえない気がする』とのことです。暫くは様子を見ながら、遠慮気味に練習します。
防音対策をしたから『いくら弾いても大丈夫』ではなく、常に気遣いは大切かと思います。費用はかかりましたが、環境は大切なので最善を尽くせた感はあります。」

グランドピアノの床対策をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事でご紹介している、グランドピアノの設置と部屋の形に合わせた防音対策もあわせてご覧ください。

事例2:シニアマンションで電子ドラム。上下左右の住人と音を検証(E様)

楽器可物件で電子ドラムの設置事例(E様)

防音対策を検討された背景

E様は、1960〜70年代のロックを中心に年3回ほどライブを楽しまれている、アマチュアの後期高齢者ドラマーです。3年前に一戸建てから新築のアクティブシニアマンションへ引っ越された際、電子ドラムを演奏するために防音対策を検討されました。

ご提案した対策:防振効果のあるステージで床への振動をカット

RC造マンションの近隣の方への音や振動を抑えたいとのことで、「ピアノ・ドラムステージ」(カラー:ダークブラウン)を設置いただきました。

電子ドラムは音量を調整できる一方、パッドを叩く打撃音やキックペダルの振動が床に伝わりやすい楽器です。ステージの上で演奏することで、床への振動(固体音)を軽減します。

設置いただいた商品と費用

対策箇所商品サイズ価格
床ピアノ・ドラムステージ幅1350×奥行1350mm133,760円(税込)

※価格はご購入時のものです。

ピアノ・ドラムステージ

ピアノ・ドラムステージ

防音ボードと防音マット・防音カーペットを組み合わせて浮床工法形式の床用防音ボードを実現しました。

振動をしっかりと軽減します。置くだけなので床を痛めません。

お客様のご希望の形、サイズで製作します。

上下階・隣室の住人に協力してもらい、実地検証

E様は初めてのマンション生活で、上下階や隣室への影響を心配されていました。そこで、真下(2階)・真上(4階)・隣室の住人の方に協力をお願いし、音漏れと振動の実地検証を行ったそうです。

『今から思い切り叩きますから音を確認してください』と言って、叩いた後に『どうでしたか?』と聞くと『いつ叩いているのかすらわからなかった』とのことでした。
『耳を澄ましていても、全く音も振動も感じない!どうぞのびのびと練習なさってください!』と言っていただけました!

マンション内で、ドラムの流行が広がる

その後、マンション内ではE様に触発されて「健康リズムサークル(ドラム教室)」が発足。60代から80代半ばまでの約10名がドラムを習い始め、すでに6名が電子ドラムを購入されたそうです!

高齢者パワーも侮れませんね!(笑)

E様は現在、生ドラムが叩ける防音スタジオを備えたご自宅を新築され、ピアノ・ドラムステージはご友人にお譲りになるとのことです。

電子ドラムの防音対策全般については、以下電子ドラムの防音対策の記事で詳しく解説しています。よろしければご参考下さい。

2つの事例に共通する「隣人に音を確認してもらう」という最後のひと手間

今回ご紹介した2つのお客様事例には、楽器も建物も違うのに、共通点がありました。それは、防音対策をしたあとに、近隣の方に実際の聞こえ方を確認してもらっていることです。

防音対策の効果は、建物の構造や間取りによって変わります。どれだけ対策をしても、「本当に聞こえていないか」は実際に隣の部屋で聞いてみないと分かりません。

音の確認をお願いすることには、次のようなメリットがあります。

  • 対策の効果を正確に把握できる:自分の部屋では分からない「隣での聞こえ方」が分かる
  • 安心して演奏できる:「大丈夫」と言ってもらえることで、気兼ねなく練習できる
  • トラブルを未然に防げる:事前に顔を合わせて話しておくことで、万一気になったときも直接相談してもらいやすくなる

音の確認をお願いするときのコツ

  • 「今から〇分間、普段どおりに演奏します」と時間と音量の目安を伝える
  • 普段いちばん大きな音を出す曲や奏法で試す
  • 演奏可能な時間帯について、相手の生活リズムも聞いておく
  • 確認後も「気になったらいつでも教えてください」と伝えておく

O様の「防音対策をしたから『いくら弾いても大丈夫』ではなく、常に気遣いは大切」という言葉どおり、対策とコミュニケーションの両輪で、長く楽器を楽しめる環境がつくられています。

楽器可物件の防音対策でよくある質問

楽器可物件なら防音対策は不要ですか?

必要な場合が多いです。楽器可物件は演奏を禁止していないというだけで、防音仕様とは限りません。特にグランドピアノやドラムは床を伝わる振動(固体音)が発生しやすいため、床の対策をおすすめします。

賃貸マンションでもグランドピアノの防音対策はできますか?

はい。今回の事例のように、防音マットとタイルカーペットを敷くだけの対策なら、床に傷をつけず、退去時も取り外せます。ただし、環境によっては対策しても階下に音が響いてしまう可能性がございますので、演奏する時間やマンションの構造など、事前に注意が必要です。今回ご紹介した築40年・鉄骨造の賃貸マンションの場合は、「アップライトの時より音が聞こえない気がする」と隣人の方から評価をいただいています。

マンションで電子ドラムを叩いても苦情は来ませんか?

建物の構造や対策によります。今回のRC造マンションの事例では、防振ステージを使用したうえで、上下階と隣室の住人に確認してもらい「いつ叩いているのかすらわからなかった」という結果でした。対策後に近隣の方に確認してもらうと安心です。

防音マットを重ねるとき、気をつけることはありますか?

床が高くなる分、ドアが閉まらなくなることがあります。事前にドア下のすき間を測り、必要に応じてドアの開閉範囲だけ一層にするなどの調整をしましょう。

まとめ:楽器可物件こそ「床の対策」と「ご近所への確認」を

「楽器可物件」であっても、グランドピアノやドラムのように音量や振動が大きい楽器を演奏する場合は、周囲への配慮として適切な防音対策が重要です。

  • まずは床を伝わる振動(固体音)の対策から
  • 対策後は、近隣の方に実際の聞こえ方を確認してもらう
  • 「対策したから何をしてもいい」ではなく、気遣いを続ける

マンションでの楽器演奏のルールや注意点については、マンションでピアノを弾くときのルールと防音対策もあわせてご覧ください。

ピアリビングでは、お住まいの環境やお悩みに合わせて、必要な枚数や配置まで具体的にご提案しています。楽器演奏の音対策でお困りの方は、LINEやショールームでお気軽にご相談ください。