“オンライン会議の声が隣室に筒抜け”“配信やボイスチャットの音漏れが夜は気になる”──そんな悩みを10万円台で一気に解決できるDIY防音間仕切りブースを作ってみました!

この防音間仕切りブースを使った間仕切り防音実験では、高い音でなんと最大20 dB低減という結果も出ています。

 本記事では 、

  1. L字タイプ
  2. コの字タイプ
  3. 小部屋タイプ

 の3パターンを、費用内訳から詳しい作り方まで詳しく紹介します。

後編では、これらのブースを使った防音実験に基づく効果を解説していきますので、ぜひどちらもチェックしてみてくださいね!

YouTubeでもご覧いただけます

この記事の内容は、以下のYouTubeでもご覧いただけます。

こちらの記事では動画の内容をざっくりまとめておりますので、詳しい組み立て方法や防音実験などは、ぜひYouTubeにてチェックしてみてください!

対象の音と防音の三原則をおさらい

まず、今回の対象となる「話し声」はどんな音なのか、そして、防音のキホンをおさらいしましょう。

話し声は空気伝播音

空気音…空気を介して伝わる音。人の声、楽器の音、車の走行音などは空気音。
固体音…固体を介して伝わる音。床を歩いた時の音、壁を叩いた時の音などの衝撃や振動を指します。固体音は空気中に放射される際に空気音となる。

空気音と固体音
話し声の周波数と音量
話し声の周波数と音量

防音・遮音・吸音の違い

空気音は、吸音と遮音の働きをうまく使って防音します。

防音:「音を軽減すること・防ぐこと」を目的とする場合によく使われている言葉です。音の種類や方向によって様々な方法があります。

吸音:吸音材やクッションなどの物体に音がぶつかる(受け止めさせる)ことで、空気の振動が熱エネルギーへと変化し、物体の手前に反響する音や物体を抜ける音を減衰すること。

ピアリビングでよく吸音材と併用することをおすすめしている「遮音材」とは異なる働きをします。

遮音:密度や重量のあるものに音がぶつかる(受け止めさせる)ことで、物体の向こう側に伝わる空気の振動を遮断すること。

抜ける音を和らげる吸音とは違い、音を通さない(遮断する)ことを目的とします。

しつこいほど毎記事にこのトピックを出して恐縮なのですが、音を理解することが防音への一番の近道だと思っております・・・!

ですので、どうか何度でもお伝えさせてください。

最適な対策ができますように・・・!
最適な対策ができますように・・・!

今回作るDIY防音間仕切りブース

冒頭でもお伝えしたように、今回は以下の3種類のDIY防音間仕切りブースを作っていきます。

  1. L字タイプ
  2. コの字タイプ
  3. 小部屋タイプ
自分だけの防音空間って嬉しいですよね
自分だけの防音空間って嬉しいですよね

それぞれブースの大きさ、使用した材料とおおよその費用も詳しく紹介しますので、ぜひご予算の参考にしてみてください。

※2025/11/26時点の価格です。

作業は2人以上、露出の少ない格好と軍手を着用。

今回のようなブースを作る場合は、大人2人以上で作業することを推奨します。

1人での作業や、小さなお子様との作業は、転倒・破損・怪我などにつながる恐れがありますので、推奨致しません。

また、部材に使用されている素材によっては肌に刺激を感じる場合もあるため、露出の少ない長袖長ズボン、滑り止め付きの軍手の着用を推奨します。

背の高いブースを作る場合には、脚立があると便利です!

【L字】タイプ

まずは3種の中でも作業難易度が低く、手軽に作れるL字タイプからご紹介します。

DIY防音間仕切りブースL字タイプ
DIY防音間仕切りブースL字タイプ

ブース自体のサイズ:幅1800mm×高さ2420mm×奥行き900mm

こちらの記事では分かりやすいように壁面パーツにアルファベットを振り分けています。

使用した材料イメージ

使用した材料と価格

合計:140,754円(税込)

防音間仕切りブース【L字タイプ】の作り方

プラスチックダンボール(以降プラダンと表記)のサイズに合わせて、遮音シートをカッターで切っていきます。

遮音シートをカットする

遮音シートなどの厚手の部材をカットする場合は、一気に切ろうとせずに、定規を当てて刃を何度か入れるようにして切ると、少ない力でも綺麗にカットが可能です。
カット可能な防音カーペット防音マットなども、同じようにカットすると綺麗に仕上がるのでぜひ参考にしてみてください!

プラダンと遮音シートを貼り合わせる1

ボンドテープをプラダンの一辺に貼り、その上に遮音シートを被せた後に剥離紙を剥がして接着していきます。

プラダンと遮音シートを貼り合わせる2

反対の辺は、遮音シートにボンドテープを貼ってから剥離紙を剥がし、プラダンに押さえつけるように貼り合わせると綺麗に仕上がります。

今回取り付け部材として使用するラブリコ木材セット(以降ラブリコと表記)を組み立てていきます。

ツーバイ材の上下に、ラブリコのアジャスターを被せるように取り付けます。

【上部】ラブリコのアジャスターを木材に取り付ける
【上部】ラブリコのアジャスターを木材に取り付ける
【下部】ラブリコのアジャスターを木材に取り付ける
【下部】ラブリコのアジャスターを木材に取り付ける

ラブリコは床と天井に突っ張るようにして設置します。

※この時、必ずラブリコが床と天井に対して垂直になるように設置してください。

初めにラブリコを仮の幅で2本設置し、吸音材をあてがいながら設置位置を調整していきます。まずは真ん中のパーツBから組み上げていきます。

【L字】パーツBの配置
【L字】パーツBの配置

上記画像のような配置で、ラブリコで吸音材を挟むようにして設置します。

吸音材が内側、プラダンが外側になるように設置しましょう。

吸音材→プラダンをラブリコと吸音材の間に差し込む→両面をビス留めという流れで行います。

吸音材を積み上げて遮音シート+プラダンを固定する
吸音材を積み上げて遮音シート+プラダンを固定する

この時、ラブリコはどちらも外側に設置します。

【L字】パーツAも同様に
【L字】パーツAも同様に
最上段の設置
最上段の設置

最後に、最上段を取り付けることで、安定した状態で固定できるため、より安心です。

  1. パーツA・Bの最上段の吸音材と遮音シート+プラダンを固定する
【L字】パーツCも同様に
パーツCも同様に、ラブリコを立てて下段から吸音材を設置→遮音シートを貼ったプラダンを固定という流れで作業していきます。

完成です!お疲れ様でした!

L字タイプブース完成
L字タイプブース完成

【コの字】タイプ(天井あり)

続いて、コの字タイプの防音間仕切りブースの作り方を紹介します。

DIY防音間仕切りブースコの字タイプ
DIY防音間仕切りブースコの字タイプ

ブース自体のサイズ:幅1800mm×高さ2420mm×奥行き900mm

こちらの記事では分かりやすいように壁面パーツにアルファベットを振り分けています。今回は、一人分の机が入るようなサイズで作っていきます。また、天井ありのタイプを作っていきますが、不要であれば天井の工程は省いていただいても構いません。

使用した材料イメージ

使用した材料と価格

合計:157,471円(税込)

防音間仕切りブース【L字タイプ】の作り方

1.~3.までの工程は【L字タイプ】と同じなので省略します。

  1. ラブリコを吸音材の幅に合わせて設置する

ラブリコは床と天井に突っ張るようにして設置します。

※この時、必ずラブリコが床と天井に対して垂直になるように設置してください。

初めにラブリコを仮の幅で2本設置し、吸音材をあてがいながら設置位置を調整していきます。まずは真ん中のパーツBから組み上げていきます。

【コの字】パーツBの配置
【コの字】パーツBの配置

上記画像のような配置で、ラブリコで吸音材を挟むようにして設置します。

※【L字タイプ】とは配置が異なるので注意

  1. 吸音材を3段目まで積み上げ、遮音シートを貼ったプラダンをビスで固定する

吸音材が外側、プラダンが外側になるように設置しましょう。

吸音材→プラダンをラブリコと吸音材の間に差し込む→両面をビス留めという流れで行います。

吸音材を積み上げて遮音シート+プラダンを固定する
吸音材を積み上げて遮音シート+プラダンを固定する
  1. 側面であるパーツA・Cも同じ作業を繰り返す

この時、ラブリコはどちらも外側に設置します。

【L字】パーツAも同様に
【コの字】パーツAも同様に
  1. パーツA・Bの最上段の吸音材と遮音シート+プラダンを固定する
最上段の設置
最上段の設置

最後に、最上段を取り付けることで、安定した状態で固定できるため、より安心です。

  1. 天井にパーツDの吸音材を乗せる
【コの字】天井をのせる
【コの字】天井をのせる

完成です!お疲れ様でした!

コの字タイプブース完成

【小部屋】タイプ(天井あり)

続いて、小部屋タイプの防音間仕切りブースの作り方を紹介します。

DIY防音間仕切りブース小部屋タイプ
DIY防音間仕切りブース小部屋タイプ

ブース自体のサイズ:幅1800mm×高さ2420mm×奥行き900mm

こちらの記事では分かりやすいように壁面パーツにアルファベットを振り分けています。今回は、一人分の机が入るようなサイズで作っていきます。また、天井ありのタイプを作っていきますが、不要であれば天井の工程は省いていただいても構いません。

使用した材料イメージ

使用した材料と価格

合計:241,901円(税込)

防音間仕切りブース【小部屋タイプ】の作り方

1.~7.までの工程は【L字タイプ】と同じなので省略します。

  1. パーツCもパーツA・B同様に設置します。
【小部屋】パーツCも同様に
【小部屋】パーツCも同様に
【小部屋】パーツCの部材配置
【小部屋】パーツCの部材配置

この時、上記画像のような配置でラブリコを設置します。

  1. パーツDを設置します
【小部屋】パーツDの部材配置
【小部屋】パーツDの部材配置

この時、上記画像のような配置でラブリコを設置します。

  1. パーツEを設置します。
【小部屋】パーツEの部材配置
【小部屋】パーツEの部材配置

この時、上記画像のような配置でラブリコを設置します。

これまで同様に、ラブリコを立てて下段から吸音材を設置→遮音シートを貼ったプラダンを固定という流れで作業していきます。

  1. 天井にパーツF・Gの吸音材を乗せる
【小部屋】天井をのせる
【小部屋】天井をのせる
小部屋タイプブース完成

完成です!お疲れ様でした!

もう少し費用を抑えたいなら・・・

今回紹介した材料よりも、もっと費用を抑えて作りたい場合には、

ロックウールボード 密度80kg/m3 両面クロス貼り 605mm×910mm 厚さ50mmを使用する方法もあります。

ただ、吸音材の密度が下がるため、遮音率も若干下がってしまいます。

例えば、パワーがダイレクトに伝わりやすい正面の壁だけ密度150kg/m3にするという風に工夫をするのもいいかもしれませんね。

加工の手間なし!もっと手軽に設置したいなら・・・

材料のカットや貼り合わせの手間を省いて、仕上げクロスまで選べるワンタッチ防音壁がおすすめです。

ワンタッチ防音壁

防音パネル「ワンタッチ防音壁」

防音効果:最大10dB減/高密度+サンドイッチ構造/賃貸OK・オーダーカット・断熱/幅50~5400mm×高さ901~2700mm, 50mm厚/2種10色展開/17,600円(税込)~

後編では防音実験とその効果をご紹介

次回は防音実験と気になる効果を徹底解説!
次回は防音実験と気になる効果を徹底解説!

今回は、3種類のブースの作り方をご紹介しました。

次回、後編では、それぞれのブースを使用した防音実験と、その効果についてご紹介します。

お楽しみに!

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参考文献・出典

【1】井上勝夫「マンションの音トラブルを解決する本」

【2】DPA Microphones「楽器の音響特性」Mic University

【3】Martinezら「都市騒音の評価と低減策」、Environmental Science & Technology(2001年)

【4】大林組(1987)「トンネル発破音の特性とその対策例について」『技術報告書』第34号、29頁。

【5】Haselhurst, D.(2024).「ギターの音量はどれくらい?【決定版ガイド】」Guitar Mammoth.

【6】Johnsonら「COVID-19パンデミック下の公衆衛生対策」、Public Health Reports(2020年)

【7】Leeら「精神疾患の疫学研究」、Journal of Psychiatric Research(2005年)

【8】Kimら「子供の睡眠と健康に関する縦断研究」、Sleep Medicine(2021年)

【9】Garciaら「騒音曝露と心血管リスク」、Environmental Health Perspectives(2011年)

【10】Smithら「騒音の人体影響に関する研究」、Environmental Medicine Journal(2006年)

【11】iZotope「ドラム音のイコライジング方法」

【12】Zhangら(2019)「高速鉄道の騒音解析に関する研究」『Chinese Journal of Mechanical Engineering』。

【13】川口直也・石原勝洋「生ドラム演奏音の周波数分析と騒音対策」『騒音制御』第4巻第1号、2010年、15–22頁

【14】Zając, M., & Słowik, M.(2016)「低速道路における路面の騒音特性」『Coatings』第6巻、第2号、15ページ

【15】Leventhall, H.G.(2004)「低周波騒音と不快感」『Noise and Health』第6巻第23号、59–72頁。

【16】株式会社LoopGate(2025)「音声通話における人の声の周波数や音質、聞こえ方の違いについて解説」