2004年に、あるお客様からこのようなご相談をいただきました。
「東京で一人暮らしを始める息子がギターをしていて、1人暮らしの部屋に置く簡易的な防音室がほしいです」
世の中にはしっかりしたメーカーの防音室というのはあったのですが
お値段も何百万と高いうえに組み立てもばらすのも業者に依頼をしないといけないのと(組み立てだけで6万円以上)
なにより耐荷重や予算、数年したら引っ越すかもしれないとのことで
自分でできるものというのは一切ありませんでした。
それでもすでに開発販売をしていたワンタッチ防音壁をなんとか塩ビのジョイナーだけで
組み立てることはできないか??
いろんな形にしてみてなんとかできたのですが、どうしてもクリアできない問題がドアでした。
簡易的にできたものに加重のあるドアなどつけることができない。
ワンタッチ防音壁の素材はグラスウールなので、釘やビスなどで固定ができない。
▲初代の組立式防音室。入り口部分が全開でドアの仕様について課題があった
それが、「防音室の入り口部分をどうすれば防音仕様にできるのか」ということ。
するとそのお客様から「ドアだけ防音カーテンにできませんか?」
というご意見をいただき実際に、入り口部分は防音カーテンを吊るすことにしました。
(当時あった鉛いり防音カーテン)
▲実際に完成した組立式防音室
結果的にお客様には大変喜んでいただき、組立式防音室にも大きな可能性を感じました。
しかし防音性をさらにあげよう、換気扇は?など
どんどん改良をしていくうちに簡単に組み立てられない本格的な防音室になってしまう・・。
そのうちお客様のご要望で夜に犬が泣くので防音犬小屋がほしいということで
組み立て式のわんちゃんの防音室をつくりました。
もちろん息ができるように下の部分に空洞をつくり、小窓も作って制作・・。
それがまさかのNHKの目にとまり、福岡市から40キロも離れた宗像市まで東京から取材の方がぞろぞろと来られました。

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「NHKおはよう!日本」で取り上げられる
2005年2月、遂に全国テレビ「NHKおはよう日本」から、組立式防音室を取り上げたいと取材依頼をいただきました。
初めての全国テレビで緊張しましたが、結果は大盛況。
放送直後はお問い合わせが止まらず、非常に多くの方からご注文をいただきました。
ただしその後商品の改良を行う中で、前提として「組み立てられる=軽量であること」、そして軽量だと防音性能が落ちるという問題に直面しました。
当然のことですが、重量があるほど防音性能は高くなりますが、そうすると簡単に組み立てはできなくなってしまいます。
今の防音室では強度的にもむずかしく、組み立てられるように制作をすることも難しい。
賃貸でも組み立てが楽で重量も安心でではなければ意味がない。
そして何よりお客様に対してしっかりしたものをご提供できなくてはいけないという思いがあり
悩みに悩んだ結果、一度組立式の防音室の販売は断念することに。
それから、DIYに使用する木製の柵を使用して防音室を作ったり、つっぱりポールとワンタッチ防音壁で防音の小部屋をつくるなど、様々な材料で検証を行ました。

サーバー用防音室
組立式防音室の断念からおよそ16年。
遂に、軽量で簡単に組み立てられる一方で、高い防音効果が期待できる防音室「おてがるーむ」が出来ました。
▲組立式防音室「おてがるーむ」
軽量の秘密は、内部に使用した吸音材です。軽量でありながら中低音域の音に対して防音効果が高い「カルモフォーム」という吸音材を使用しています。
また、さらに防音性能を高めるために、ワンタッチ防音壁のサンドイッチ構造(※)を活かし、吸音材だけでなく遮音材も使用しました。
▲「おてがるーむ」は、ワンタッチ防音壁の構造を応用したサンドイッチ構造に
(※サンドイッチ構造…ワンタッチ防音壁は吸音材と吸音材の間に遮音材を挟めたような構造にすることで、高い防音効果を発揮します)
組立式防音室の構想から16年。やっと念願の防音室の販売を実現できたことに対して、嬉しい気持ちでいっぱいです。
これからもお客様のお声を取り入れながら、商品の改良を行い、お客様にご満足いただけるような商品をご提供できるように尽力してまいります。
株式会社ピアリビング 代表取締役社長 室水房子