みなさん、こんにちは!防音専門ピアリビングのはるかです。ギターを自宅で演奏する場合、騒音トラブルを起こさないためには、何に気をつければいいのでしょうか?

ギターに限らず、防音対策を行うにあたって、「現状がどれくらいの音が出ているのか」「どこを対策したらいいのか」をそれぞれ把握することはとても大切です。

こちらの記事では、ギターの音の特性や音量、建物の構造別に音漏れする経路についてわかりやすく解説します。これからギターの防音対策を検討されている方は、ぜひ参考にされてください。

目次
  1. ギターは低い音域かつ大きな音を発する楽器
    1. ギターの「周波数」と「音量」の目安
    2. 音はどこから漏れるのか
  2. トラブルを未然に防ぐ工夫
    1. アンプを使わずにヘッドホンで練習する
    2. 練習時間を配慮する
    3. 近隣の方に挨拶する
    4. サイレントギターを使う
  3. 集合住宅で許容される音は40dB台
    1. 目標とする音の大きさ
    2. 物件の構造によって優先すべき対策は変わる
      1. 木造の場合
      2. RC造の場合
  4. 場所・効果的な防音対策ガイド
    1. 防音室で防音対策|ボックスで囲うことで遮音性能UP
    2. 窓の防音対策|防音ボードで窓の遮音性能UP+反響音を抑える
    3. 壁の防音対策|防音パネルで壁の遮音性能UP+反響音を抑える
    4. 床の防音対策|防音マットで床の遮音性能UP+反響音を抑える
    5. 天井の防音対策|吸音材で反響音を抑える
    6. ドアの防音対策|防音カーテンや防音ボードでドアの遮音性能UP+反響音を抑える
    7. ドアの防音対策|防音カーテンや防音ボードでドアの遮音性能UP+反響音を抑える
  5. ギターの音トラブルを防ぐためのチェックリスト
  6. まとめ|快適にギターを弾くために大切なこと
  7. よくある質問
    1. (Q)マンションでギターを弾くとき、音漏れ対策は本当に必要ですか?
    2. (Q)マンションでギターの音漏れを防ぐために、まずどこから対策すべきですか?
    3. (Q)ギターの音で防音対策をするとどれくらい音を軽減できますか?
    4. (Q)ギターの生音だけでも近隣に迷惑になりますか?
    5. (Q)窓からのギター音漏れにはどの防音グッズが効果的ですか?
    6. (Q)木造でギターを弾きたいのですが、最も効果的な防音対策は何ですか?
    7. (Q)RC造でギターを弾きたいのですが、最も効果的な防音対策は何ですか?

ギターは低い音域かつ大きな音を発する楽器

ギターの「周波数」と「音量」の目安

ギターの音は想像以上に大きく、演奏状況によってはかなりの音量になります。

ギターの種類音の高さ音の強さ
エレキギター80〜1000Hz約100dB※(アンプ使用時)
アコースティックギター80〜1000Hz約80dB

ギターの音域は主に80〜1000Hzの低音域に集中しており、窓やドア・換気口などの隙間からだけでなく、壁や床を透過する可能性がある音域となります。

ちなみに音の大きさ(dB)は、お持ちのスマートフォンのアプリで簡単に計測することができます!例えば、こちらの「騒音測定器」というアプリ。ぜひ試しにお使いください。

防音カーテン コーズ

「ギターの音の大きさや音の高さは分かったけど、どのくらい音を抑えたら隣や上下階に伝わらないの?」という疑問については、建物の構造によるため一概には難しいですが、

  • 木造や鉄骨造→〜60dB
  • RC造→〜70dB

に抑えられれば、トラブルになる可能性は下げられるかと思います。

一般的に木造や鉄骨造は遮音性能が低いケースが多く、例えば低音域(〜200Hz)においては壁は20dBしか音は減衰されません。一方でRC造の壁は35dB程減衰されるため、木造よりもRC造の方が音漏れする可能性が低いです。

音はどこから漏れるのか

ギターの音は空気を伝って広がる「空気伝搬音」です。ピアノやドラムのような固体を伝う「固体伝搬音」に比べると対策しやすいものの、一般的には以下のような経路から音は漏れていきます。

  • 隣の部屋や住戸→壁・窓から
  • 階下→床から
  • 屋外→窓・ドアから
  • 上階→天井から

トラブルを未然に防ぐ工夫

防音対策についてご説明する前に、すぐにできる工夫についてご紹介します。未然にトラブルを回避するためにも、ぜひチェックしてみてください。

アンプを使わずにヘッドホンで練習する

エレキギターとヘッドホン

アンプを使用して演奏した場合、100dBを超える音量となるため近隣に音が伝わる可能性は高いです。極力アンプは繋がずに、ヘッドホンをつけて練習することをおすすめします。

練習時間を配慮する

建物で楽器演奏が可能な時間帯が定められている場合は、そちらのルールに従うようにしましょう。深夜や早朝など寝静まっている時間帯は非常に静かな環境であるために、些細な音でもトラブルになることがあります。練習時間には十分配慮するようにしましょう。

近隣の方に挨拶する

可能であれば、近隣の方に一言挨拶すると良いかと思います。「趣味でギターを練習しています。もし気になる音があれば遠慮なくお知らせください」と伝えておくだけで、印象が大きく変わります。

サイレントギターを使う

サイレントギター

予算をかけられるのであれば、ヤマハなどから出ている「サイレントギター」を導入するのも良いかと思います。こちらは、弦の振動のみで音が出ない設計となっています。周囲に聴こえる音量は、一般的なアコースティックギターの10~20%と非常に小さいようなので、マンションでも気兼ねなく演奏することができます。

集合住宅で許容される音は40dB

目標とする音の大きさ

生活音として許容される音の大きさは、環境基本法による環境基準によって定められています。住宅地域については昼間は55dB以下、夜間は45dB以下と定められています。そのため、上下階やお隣に漏れる音は40dBには抑えることを目安としましょう。

地域の類型昼間夜間
療養施設、社会福祉施設等50dB以下40dB以下
住宅地域55dB以下45dB以下
商業・工業地域等60dB以下50dB以下

環境省「騒音に係る環境基準について」を元に作成

物件の構造によって優先すべき対策は変わる

ギターの周波数、音量、どの程度の遮音が必要なのか把握ができたら、続いては建物の構造別で音が漏れる可能性が高い箇所を特定することが大切です。

木造の場合

遮音性が低いかつ面積が広い「壁」「床」「天井」の防音対策を優先的に行う必要があります。その次に「窓」の対策に広げていきます。

RC造の場合

木造とは異なり、元々「壁」「床」「天井」の遮音性は高いケースが考えられるので、優先的に「窓」の対策を行うのが良いかと思います。

場所・効果的な防音対策ガイド

ここからは場所別に効果的な防音対策をご紹介します。

防音室で防音対策|ボックスで囲うことで遮音性能UP

最も効果的かつコストパフォーマンスが高い対策が防音室を導入する方法です。特に遮音性が低い木造や鉄骨造だとこちらの対策が最もおすすめです。

ピアリビングで販売している防音室「おてがるーむ」は20dB以上の軽減(500Hzの場合)が可能になります。

おてがるーむ

簡易防音室「おてがるーむ」

防音効果:20dB減/吸音×遮音のサンドイッチ構造/簡単設置・再組立可/内寸幅815×高さ1880×奥行き1110mm/2色展開/209,000円(税込)

おてがるーむの防音効果については、下記動画でご紹介しているのでご覧ください。

防音室だとサイズが合わないという方は、ピアリビングで販売している防音パネル「ワンタッチ防音壁」で自身で防音ブースを作る方法も考えられます。

ワンタッチ防音壁

防音パネル「ワンタッチ防音壁」

防音効果:最大10dB減/高密度+サンドイッチ構造/賃貸OK・オーダーカット・断熱/幅50~5400mm×高さ901~2700mm, 50mm厚/2種10色展開/17,600円(税込)~

↓ワンタッチ防音壁、2×4材、ラブリコ、塩ビジョイナーでブースを作った様子

ワンタッチ防音壁
ワンタッチ防音壁15枚で作成
ワンタッチ防音壁
ワンタッチ防音壁15枚で作成
ワンタッチ防音壁
ワンタッチ防音壁9枚で作成

そのため、音のボリュームは【50~55dB】が限界かと思います。50~55dBの音であれば、お隣では30dB程度のボリュームで何を演奏しているか分からないほどです。

ワンタッチ防音壁で防音ブースを作る方法は、下記のブログでもご紹介しています。

窓の防音対策|防音ボードで窓の遮音性能UP+反響音を抑える

窓用ワンタッチ防音ボード

窓の防音対策であれば、「窓用ワンタッチ防音ボード」がおすすめです。ワンタッチ防音壁と同様に吸音性の高いグラスウール吸音材と遮音材で作られており、上部と左右にはゴムのパッキンがついています。最大で20dB程度の音の軽減が可能になります。

窓用ワンタッチ防音ボード

防音ボード「窓用ワンタッチ防音ボード」

防音効果:★★★★★/高気密+サンドイッチ構造/賃貸OK/幅300~3655mm×高さ300~2100mm,58mm厚/10色展開/22,000円(税込)~

下記動画では、一般の遮音カーテン・防音カーテン・窓用ワンタッチ防音ボードで防音実験を行っております。良ければ参考にされてください。

壁の防音対策|防音パネルで壁の遮音性能UP+反響音を抑える

ワンタッチ防音壁
取付部材(塩ビジョイナー)を使用してワンタッチ防音壁を設置している様子

木造や鉄骨造であれば防音室の導入、RC造であれば窓の防音ボードの導入を行った上で、さらに防音性を高めたい方は、ピアリビングで販売している防音パネル「ワンタッチ防音壁」を壁に貼る方法も考えられます。ワンタッチ防音壁は、吸音性の高いグラスウール吸音材と遮音材で作られた商品で、こちらを設置することで高い音域においては、約10dBの軽減が期待できます。

ワンタッチ防音壁

防音パネル「ワンタッチ防音壁」

防音効果:最大10dB減/高密度+サンドイッチ構造/賃貸OK・オーダーカット・断熱/幅50~5400mm×高さ901~2700mm, 50mm厚/2種10色展開/17,600円(税込)~

※下記の性能試験ではワンタッチ防音壁を設置することで、最大で30dB以上の遮音効果が表れております。ただしRC造のように元々壁厚が200mm程あり遮音性能が高い壁については、ワンタッチ防音壁を貼っても下記のような高い性能は出ませんのでご注意ください。(下記性能試験は、9.5mm厚のプラスターボードを使用しております)

ワンタッチ防音壁 効果

床の防音対策|防音マットで床の遮音性能UP+反響音を抑える

床の防音対策であれば、防音タイルカーペット 「静床ライト」+防振マット「P防振マット」がおすすめです。重量のある防音マットを敷くことで、多少ではありますが、床から透過する音を和らげます。また、静床ライトのように表面が絨毯になっていることで、お部屋内の反響音を和らげるので、結果的に周りに伝わる音を軽減することができます。

静床ライト

防音タイルカーペット「静床ライト」

防音効果:ΔLL-4/特殊な3重構造/保温・断熱・防ダニ・防炎機能・カット可/50cm×50cm/12色展開/2,442円(税込)~

P防振マット

防振マット「P防振マット」

防音効果:L-55/面密度4.8・9.7(kg/m2)/遮音×制振ゴムマット/高耐久性・耐水・カット可/910×450mm, 厚み5mm・10mm/2,860円(税込)~

天井の防音対策|吸音材で反響音を抑える

天井は重量のある防音材の設置が難しいケースが多いため、吸音材を貼ってお部屋内の反響を抑える対策となります。ピアリビングでは「カームフレックス」という吸音材をおすすめしています。

カームフレックス

吸音材「カームフレックス」

密度:23(kg/m3)/0.1kg~0.2kg/中低音域の反響音対策/DIY・難焼・裏面粘着付/500×500mm,20mm・40mm厚/8枚13,200円(税込)~

ドアの防音対策|防音カーテンや防音ボードでドアの遮音性能UP+反響音を抑える

室内ドアはお部屋の中で最も遮音性能が低いケースが多いです。(ただし賃貸マンションだと室内ドア以外に玄関ドアが存在するため、場合によっては対策の優先順位は低くなるかもしれません)防音カーテンや窓用ワンタッチ防音ボードでの対策が有効です。防音カーテンでは〜10dB、窓用ワンタッチ防音ボードだと〜20dBの軽減が見込めます。

防音カーテンコーズプレミア

防音カーテン「コーズプレミア」

防音効果:★★★☆☆/高密度生地/断熱・遮光1級/既製(幅110cm×丈135~250cm)orオーダーサイズ/2~3色展開/14,740円(税込)~

窓用ワンタッチ防音ボード

防音ボード「窓用ワンタッチ防音ボード」

防音効果:★★★★★/高気密+サンドイッチ構造/賃貸OK/幅300~3655mm×高さ300~2100mm,58mm厚/10色展開/22,000円(税込)~

ドアの防音対策|防音カーテンや防音ボードでドアの遮音性能UP+反響音を抑える

室内ドアはお部屋の中で最も遮音性能が低いケースが多いです。(ただし賃貸マンションだと室内ドア以外に玄関ドアが存在するため、場合によっては対策の優先順位は低くなるかもしれません)防音カーテンや窓用ワンタッチ防音ボードでの対策が有効です。防音カーテンでは〜10dB、窓用ワンタッチ防音ボードだと〜20dBの軽減が見込めます。

防音カーテンコーズプレミア

防音カーテン「コーズプレミア」

防音効果:★★★☆☆/高密度生地/断熱・遮光1級/既製(幅110cm×丈135~250cm)orオーダーサイズ/2~3色展開/14,740円(税込)~

窓用ワンタッチ防音ボード

防音ボード「窓用ワンタッチ防音ボード」

防音効果:★★★★★/高気密+サンドイッチ構造/賃貸OK/幅300~3655mm×高さ300~2100mm,58mm厚/10色展開/22,000円(税込)~

↓ドアの前に窓用ワンタッチ防音ボードを設置している事例

ギターの音トラブルを防ぐためのチェックリスト

これまでの内容を踏まえて、「ギターの音でトラブルを防ぐために知っておきたいチェックリスト」を12個ご用意しました。これまでの復習を兼ねて、参考にしていただけたらと思います。

  • ◻︎ギター(生音)の音量が約80dBであることを理解している
  • ◻︎アンプ使用時には100dBを超えることもあると認識している
  • ◻︎ギターの音域(80〜1000Hz)は防音対策しづらい低中音域であると把握している
  • ◻︎練習時間帯は常識的な範囲(早朝・深夜を避ける)にしている
  • ◻︎アンプは使用せず、ヘッドホンをつけている
  • ◻︎(可能であれば)近隣の方に一言挨拶している
  • ◻︎自宅が木造/鉄骨造/RC造(鉄筋コンクリート造)か把握している
  • ◻︎隣・上階・下階の部屋との間取り(壁や床の構造)を把握している
  • ◻︎自宅の構造を理解した上で優先すべき対策が分かっている
  • ◻︎生活音レベルの目安が40dB台であることを理解している
  • ◻︎現状の演奏時のdB数を測定・確認した
  • ◻︎建物の遮音性能に応じて、何dB抑える必要があるか把握している

まとめ|快適にギターを弾くために大切なこと

近所とトラブルなく、音楽を思いきり楽しむためには、

  • (1)どんな音がどのくらい出ているのかを知る
  • (2)自分の部屋の構造に合った対策を選ぶ
  • (3)コスト・手間・効果のバランスを見ながら、最も効果的なところから始める

この3つを意識して、快適な演奏空間を整えていただけたらと思います。

よくある質問

(Q)マンションでギターを弾くとき、音漏れ対策は本当に必要ですか?

(A)はい、必要です。ギターの音は生音でも80dB台と非常に大きく、近隣に伝わる音はマンションで許容される生活音レベル(40dB程度)を超える可能性があります。

(Q)マンションでギターの音漏れを防ぐために、まずどこから対策すべきですか?

(A)物件の構造によりますが、木造・鉄骨造なら遮音性が低いかつ面積が広い壁・床・天井の対策から、RC造(鉄筋コンクリート造)なら窓・ドアの対策を優先すると良いかと思います。

(Q)ギターの音で防音対策をするとどれくらい音を軽減できますか?

(A)ピアリビングの防音商品を使用した場合、防音室「おてがるーむ」で20dB以上、壁に防音パネル「ワンタッチ防音壁」を設置することで高い音域において約10dB、窓用ワンタッチ防音ボードで最大20dBの音の軽減が期待できます。

(Q)ギターの生音だけでも近隣に迷惑になりますか?

(A)生音でも80dB程度あるため、集合住宅では騒音トラブルの原因になりえます。周波数や建物の構造によりますが、低音域の音の場合、木造だけでなくRC造でも音漏れする可能性はあります。

(Q)窓からのギター音漏れにはどの防音グッズが効果的ですか?

(A)「窓用ワンタッチ防音ボード」がおすすめです。吸音性と遮音性を兼ね備えており、最大20dB程度の音軽減が期待できます。ゴムパッキンで隙間もしっかり密閉できます。

(Q)木造でギターを弾きたいのですが、最も効果的な防音対策は何ですか?

(A)木造は壁、床、天井、全ての遮音性が低いケースが多いので、それぞれ防音するとなると非常に費用がかかります。そこでおすすめしているのが、簡易防音室「おてがるーむ」の導入です。こちらの商品は20dB以上の性能があるので、大きく音を軽減することができます。

(Q)RC造でギターを弾きたいのですが、最も効果的な防音対策は何ですか?

(A)RC造は壁、床、天井の遮音性が高いケースが多いので、窓の防音を優先することをおすすめします。ピアリビングでおすすめしているのは、「窓用ワンタッチ防音ボード」です。こちらの商品を使うことで、最大20dBの音の軽減が期待できます。ただしRC造といっても、低音域(〜200Hz)の音は防ぎづらく、壁、床、天井から音が透過するケースはあるので、追加の対策が必要になる可能性もあります。