「RC造だから安心」と思っていたのに、他の階からの音も気になるし、自分の足音や生活音、子供の足音なども下や隣に響いていそうで不安…

そんなRC造のマンションで足音や物音はなぜ響いてしまうのか、実際に下の階や隣の部屋にどれくらい響いているのか、どのくらいの音の大きさに抑えれば騒音トラブルにならないか、対策方法も交えて詳しくご紹介していきます。

▼今回のお悩み
物件:RC造のマンション
どこに対して:階下、隣室
音の種類:足音、物音
いつ:早朝・夜間
音の大きさ:60〜70dB

そもそも「RC造=静か」は誤解?構造の“弱点”を解説

RC造(鉄筋コンクリート造)は木造や鉄骨造に比べて遮音性が高いとされています。ただ、話し声やテレビの音など空気を介して伝わる音(空気伝播音)は、厚みのあるコンクリート壁によってしっかりと遮断されるため、確かに聞こえにくい構造です。

しかし一方で、足音や物を落とした音、椅子を引く音など、床や躯体を通じて直接伝わる音(=固体伝播音)には弱いというのが、RC造の弱点です。

床の厚みや構造って?

床のスラブ厚が20cm以下であったり、はるの間隔が広い場合など構造によって、足音や物音などの個体伝播音は床や壁を通じて広い範囲へ響いてしまいます。

また、床の工法は大きく分けて「直床工法」と「二重床工法」の2種類あります。

二重床工法の方が効果が高いと思われがちですが、実は直床工法の方が遮音性能が高いです。※スラブ厚が薄いと遮音性が低い場合もあります。

二重床工法はコンクリートスラブと床の間に空間があるため、足音や物音が太鼓のように響いてしまう太鼓現状が起きて、下の階に音が伝わりやすくなります。

床に響く音の種類は2種類ある(軽量床衝撃音と重量床衝撃音)

床に伝わる音には「軽量床衝撃音(LL)」と「重量床衝撃音(LH)」の2種類があります。

軽量床衝撃音は、足音やスプーンやおもちゃを落とした時のような軽い衝撃で、高い「コツン」「カチャーン」という音が特徴。

重量床衝撃音は、重い物を落としたり子供が飛び跳ねたりする際の、低くて重い「ズシン」という音です。

あなたの“何気ない動き”を数値化してみた

実際のRC造マンション(床のスラブ厚20cm・二重床工法)で実施された床衝撃音測定の結果をもとに、日常の動作がどのくらいの音を生むのか見てみましょう。実験では、タッピングマシン(軽量床衝撃音)やインパクトボール(重量床衝撃音)でそれぞれ測定しました。

足音ーー軽量衝撃音は 61 dB の“コツコツ”

断続的に振動を出す機械のタッピングマシンで音を出したところ、下の階では61dB、隣の部屋には55dBほどの音が響いていました。

夜間の住宅地は非常に静かで、暗騒音(周囲に何も音がない状態の環境音)は25〜30dBと、図書館よりも静かです。

タッピングマシンでは、通常の足音より大きな音ではありますが、かかとで歩くような強い衝撃が出るような音は、「コツコツ」と階下だけでなく、躯体を通じて隣室や上階にも響いてしまいます。

物音・子供の飛び跳ねる音ーー重量衝撃音は 70 dB の“ズシン!”

インパクトボール(2.5kg)を1mの高さから落として音を測定したところ、下の階では70dBほどの音が響いていました。

私たちが普段暮らしている中で「これくらいの音が望ましい」という目安は、環境省の「環境基準」で定められており、住宅地の場合は、昼間は55dB以下、夜間は45dB以下が理想とされています。(※参照:環境省 騒音に係る環境基準

特に早朝や夜間に「ズシン」「ドスドス」と低い音が響けば騒音トラブルに発展してしまうため注意が必要です。

足音・物音を軽減するにはどうしたらいい?

床に伝わる足音や物音を他の階になるべく伝えないようにするためには、防音マットが効果的です。

防音マットの選び方

防音マットを選ぶ際は、表面が柔らかい・弾性が高い・重量があるの3つのポイントが重要です。

①表面が柔らかい素材を選ぶ

音の発生源である足裏よりも柔らかい素材を選ぶことで、床に伝わる振動を吸収し、音源対策に有効です。フローリングよりもカーペットや畳がおすすめです。遮音等級の高い床材や、クッション性のある床材を選ぶようにしましょう。

②弾性が高い素材を選ぶ

音源対策をしても振動を完全に防ぐことは難しく、床や他の場所に伝わってしまう可能性があります。そのため、ゴムやフェルトなど弾性が高い素材を選ぶことで伝播経路対策が可能になります。

③重量がある素材を選ぶ

伝播経路対策に有効なもう一つの方法として、重量がある素材を選ぶことも挙げられます。重量があればあるほど発生した振動が他に伝わらないようにすることができます。

防音マットの種類

ピアリビングでは、上記の条件の重視した様々な種類の防音マットやカーペットを取り扱っています。敷く範囲やデザイン、用途に合った防音マットを選ぶことができます。

・防音タイルカーペット

静床ライト」「静床プレミア」は、表面のパイル層と裏面のバッキング部分が立体構造になっていますので、しっかり振動を吸収してくれます。50cm角のタイル状で、必要な場所に必要な枚数だけ敷くことができる防音タイルカーペットです。

静床ライト

防音タイルカーペット「静床ライト」

防音効果:ΔLL-4/特殊な3重構造/保温・断熱・防ダニ・防炎機能・カット可/50cm×50cm/12色展開/2,442円(税込)~

防音タイルカーペット「静床プレミア」

防音効果:ΔLL-4/特殊な3重構造/保温・断熱・防ダニ・消臭・防炎機能・カット可/50cm×50cm/3色展開/3,850円(税込)~

・1枚ものの防音ラグ

快適防音マットウッド」や「サンシンフォニーⅡ」は一枚物のラグのため、設置が簡単です。「快適防音マットウッド」は表面がフローリング調で、裏面の目付が一般的なマットの目付(1㎡あたりの繊維や素材の重量)に比べ、2倍程度密度が高く重量がある防音ラグです。「サンシンフォニーⅡ」は裏面にポリウレタン樹脂を発泡させ、直接コーティングした素材でクッション性が高いため、1枚でもしっかり振動を吸収してくれる防音ラグです。こちらはサイズオーダーが可能で、細長い廊下にも対応できます。

防音ラグ「快適防音マットウッド」

防音効果:ΔLL-6/600g/㎡の高密度素材/抗菌・防ダニ・防臭・止水性・耐久性/3サイズ/2色展開/17,600円(税込)~

防音ラグ「サンシンフォニーⅡ」

防音効果:ΔLL-6 / 高発泡ウレタンバッキング/ 防炎機能 / 既製3サイズ+オーダーサイズ対応 / 3色展開 / 3,850円(税込)~

・下敷き用防音マット

足音マット」は、フェルト生地の吸音層の間に遮音層を挟み込んだ三層構造の下敷き用防音マットです。お手持ちのカーペットや防音カーペット・ラグの下に敷くことで、防音効果を高めることができます。カッターやハサミでカットができるので、必要な範囲だけ敷くことができます。

下敷き用防音マット「足音マット」

防音効果:ΔLL-3 / 特殊な3層構造 / カット可 / 50×100cm・幅100cmロール / 3,630円(税込)~

防音マットでどのくらい軽減できる?

市販のジョイントマットとピアリビングの防音マットやカーペットではどのくらい音が軽減できるのか実験を行った結果をご紹介します。

実験結果

今回の測定では、フローリング直貼りの既存床を基準として、複数の床材や防音マットによる遮音効果を測り、比較しました。

軽量衝撃音(タッピングマシン)での測定結果

仕様OA(dB)63 Hz125 Hz250 Hz500 Hz対策なしからの低減量
対策なし61.448.859.854.548.9
ジョイントマット55.250.853.326.517.2-6.2 dB
快適防音マットウッド50.249.043.923.418.4-11.2 dB
足音マット+静床ライト45.444.238.923.121.8-16.0 dB
足音マット+サンシンフォニー45.445.033.920.217.3-16.0 dB

※OA(Overall A-weighted Level)」は、63 Hz・125 Hz … 4 kHz までの各バンドで測った A特性補正済みの音圧レベル を「エネルギー和」で足し直した総合値

ジョイントマットは安価で設置が簡単な反面、軽量衝撃音の低減量は 約6 dB にとどまり、体感ではやや効果を感じるレベルとなります。
快適防音マットになると 11 dBの減衰が見られ、下敷き用防音マットと組み合わせて二重敷きした足音マット+静床ライトおよび足音マット+サンシンフォニーは 16 dBの減衰と体感で音が小さくなったと効果を感じられるレベルまで軽減できていました。

完全に音を無くすことはできませんが、耳に響いていた音が柔らかくなり、少し遠くに感じるレベルの効果感です。

重量衝撃音(インパクトボール)での測定結果

仕様OA (dB)63 Hz125 Hz250 Hz500 Hz対策なしからの低減量
対策なし70.5 67.3 67.4 53.641.9
ジョイントマット70.067.166.848.141.4-0.5 dB
快適防音マット67.864.264.451.352.1-2.7 dB
足音マット+静床ライト69.366.865.748.439.0-1.2 dB
足音マット+サンシンフォニー67.664.464.147.246.4-2.9 dB

軽量衝撃音と比べて、重量衝撃音は減衰効果は総じて小さいことが分かります。

ジョイントマットでは重量衝撃音に対しての減衰は−0.5 dBと対策なしとほぼ変わりません。二重敷きした足音マット+サンシンフォニーでも 2.9 dBの減衰と、やや効果を感じるレベルではありますが、やはり低音域の重量床衝撃音は、軽量床衝撃音に比べて軽減が難しいです。

そのため、子供が飛び跳ねる音や重たいものを落としたり、引きずったりする音には注意が必要です。

まとめ

RC造マンションでも、足音や物音は階下や隣に響きやすく、建物の躯体を通じて聞こえる固体音は騒音トラブルに発展しやすいです。

しかし、歩き方に気をつけたり、スリッパを履くことを習慣付けたり、防音マットを敷くといった簡単な対策で、音を軽減することができます。

今回の実験の様子は、Youtubeの動画でもご覧いただけます。音の違いなどはこちらの動画で確認してみてください。

※軽量衝撃音(タッピングマシン)の測定の様子のみとなります。

よくある質問(FAQ)

Q. RC造マンションでも騒音トラブルは起きるの?

A. はい、RC造マンションは空気伝播音には強いものの、足音や物音などの「床衝撃音(固体伝播音)」には弱く、上下階や隣室に音が響く可能性があります。

Q. RC造マンションで音が響きやすいのはどんな構造の床ですか?

A. 床スラブ厚が20cm未満や「二重床工法」の場合、音が太鼓のように響きやすくなる傾向があります。遮音性能を求めるなら、スラブが厚く直床工法の物件が望ましいです。

Q. 床衝撃音にはどんな種類があるの?

A. 床衝撃音には「軽量床衝撃音(LL)」と「重量床衝撃音(LH)」があります。前者は足音や小さな物を落とした時の高音、後者は子どもが飛び跳ねた時のような重低音です。

Q. 騒音対策に効果的な防音マットの選び方は?

A. 表面が柔らかく、弾性があり、重量のある防音マットが効果的です。特に「足音マット」や「静床ライト」「サンシンフォニーⅡ」などの組み合わせが高い遮音効果を発揮します。

Q. 防音マットはどれくらい音を軽減できるの?

A. 軽量床衝撃音に対しては最大で約16dBの低減効果があり、体感でも音が小さくなったと感じるレベルです。一方、重量床衝撃音は軽減が難しく、2〜3dB程度の効果となります。

Q. 子どもの足音がうるさいと感じたらどうすればいい?

A. 防音マットを敷くのに加え、スリッパの着用や家具の脚に緩衝材をつけるなどの生活習慣の見直しも効果的です。早朝・夜間の活動には特に注意が必要です。

Q. RC造と木造ではどちらが静か?

A. 一般的にRC造の方が空気伝播音に強く静かですが、床衝撃音に関しては構造や床材により木造より響くケースもあるため、一概には言えません。

Q. 防音相談を受けることはできますか?

A. はい、防音専門のピアリビングでは無料の防音相談を実施しています。お客様の環境や目的に応じた最適な防音対策をご提案いたします。

お問い合わせ